仏アーティスト 玉野で滞在制作 駅東創庫、日常をポップな色調で

 玉野市の荘内地区で滞在制作するフランス人アーティストShab(シャブ)さん(27)の作品展が24日、同市築港の工房兼ギャラリー・駅東創庫で開かれる。滞在中に気付いた日仏の暮らしの違いや日本の伝統文化の魅力を落とし込んだ絵画作品を展示する。

 Shabさんは、アクリル絵の具やスプレー塗料を使い、ポップな色調で市井の人々の姿から想像を膨らませた心象風景やキャラクターを描く。フランスでも個展を開き、Tシャツなどのプロダクトデザインも手がけている。

 日本の伝統文化などに関心があり、フランスでアートや語学を学んでいた賀儀山(かぎやま)泰志(ひろし)さん(36)=同市=の仲介で、今月1日に来日。備前焼の窯元を訪れたり、地域住民と交流したりしながら20点程度を制作している。お辞儀や麺をすするなど、日本の日常的な動作も「見慣れないもので驚きがある」と作品のモチーフに取り入れる。

 備前焼の制作風景に着想を得た作品、地域住民らと共同制作した幅約3メートルの大作も並べる。Shabさんは「多くの人や文化と出合えて素晴らしい経験になっている。言葉の壁を越えてアートを楽しんでもらえれば」と話す。

 作品展は午後5時~9時。入場無料。28日には東京でも個展を開く。

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 Shabさんが制作拠点にする「レジデンス イン 荘内」(玉野市用吉)は、葬祭業・相賀佛光堂(同所)が所有する建物の一角を使用している。

 「レジデンス」の取り組みは、瀬戸内国際芸術祭やベネッセアートサイト直島(香川県直島町)の業務に携わってきた賀儀山泰志さんが「外国人が日本の地方都市の歴史や文化を知り、住民と触れ合う場を設けることで、多様な価値観を地域に提示したい」と企画。今後もフランスの大学生の滞在などを予定する。

 相賀佛光堂は地域の子どもの居場所づくりなどにも乗り出しており、相賀理史代表取締役は「人と人が結び付くコミュニティースペースになれば」と期待する。

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