認知症薬レカネマブ売上1兆円か エーザイ、2030年度予想

アルツハイマー病治療の新薬「レカネマブ」の米国での製品イメージ(エーザイ提供)

 エーザイと米バイオジェンが開発したアルツハイマー病治療の新薬「レカネマブ」が、米国で7月6日までに正式承認される可能性が高まっている。日本は9月末ごろ、欧州や中国でも2023年度中の承認が見込まれる。エーザイは同薬だけで30年度には売上高が全世界で1兆円規模に上ると予想し、業績拡大への期待が強まる。

 厚生労働省の推計によると日本の認知症患者は25年に約700万人となり、65歳以上の5人に1人が該当する。認知症の6~7割を占めるのがアルツハイマー病で、脳が萎縮し、記憶や思考能力が失われて最終的には日常生活を送ることも難しくなる。

 レカネマブは、早期のアルツハイマー型認知症患者を対象とした新薬で、臨床試験では薬を投与しない患者と比べ症状の悪化を27%抑制する効果が確認された。エーザイは、症状が次の段階に進行するのを平均で約3年遅らせることができると試算する。

 レカネマブは米国で患者1人当たり年約380万円の設定だが、正式承認されれば高齢者向けの保険が適用される可能性が高いという。

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