山北町役場の外線通話、音声アナウンスなく録音 町民から戸惑いの声「信頼関係を傷つけかねない」

山北町役場

 町職員への不当な圧力の排除を理由に、山北町が6月から役場庁舎内で全ての外線電話の通話内容を録音していることが22日、分かった。町は通話記録の漏洩(ろうえい)禁止などルールを設け適正に運用しているとして理解を求めるが、通話開始時に録音を知らせるアナウンスはなく、町民からは「知らないうちにこっそりと録音されている。町民との信頼関係を傷つけかねない」と戸惑いの声が聞かれる。

 町は昨年12月、故障した電話交換機の更新に際して録音機能付き交換機を導入。通話記録の保存期間を3カ月とし、不正利用などを禁じる内部ルールを定めた上で、今年6月1日から庁舎内約110台の電話機から全ての発信と受信の通話内容の自動録音を始めた。

 町によると、これまでに一部の町民から長時間の電話がかかってくるなどトラブルが頻発。弁護士と相談して職員が通話内容をボイスレコーダーで録音したこともあり、「カスタマーハラスメント」で日常業務が滞るとして、複数の部署から録音機能を求める声が挙がっていたという。

 ただ、町は全通話の録音開始についてホームページでしか告知しておらず、通話の際に録音を告げる音声アナウンスは「(アナウンスが流れている間は通話ができないので)緊急の要件に際して支障が生じる」として流していない。国の個人情報保護委員会は「法令上は録音していることについて伝える義務まではない」としており、町は「録音を不快に思うかは個人の心証。現時点で苦情はない」として理解を求める。

© 株式会社神奈川新聞社