ぬいぐるみが図書館にお泊まり 楽しむ様子、アルバムで子どもたちへ 鹿沼市図書館

ぬいぐるみたちに絵本を読み聞かせる職員

 子どもたちに図書館を身近に感じてもらおうと、栃木県の鹿沼市図書館はこのほど、ぬいぐるみを預かって図書館に“お泊まり”させるイベント「ぬいぐるみのおとまり会」を開いた。ぬいぐるみが図書館を探検する様子を職員が撮影し、アルバムにして子どもたちにプレゼントする試み。同館担当者は「添い寝する友達が楽しむ様子を見て、子どもたちと図書館の距離が少しでも縮まればいい」と話している。

 米国発祥のイベントで、愛着のあるぬいぐるみを通じてお泊まり会を疑似体験し、来館へのハードルを低くする狙い。2010年代から国内でも広がり始め、県内では真岡市や佐野市でも開かれている。同館も続く予定だったが、新型コロナウイルス禍で開催を見送っていた。

 お泊まり会は11~17日、同館の蔵書点検期間に合わせて開催した。幼稚園年中~小学6年の子どもたちのぬいぐるみ計10体が“参加”し、職員3人で手分けしてアルバム用の写真を撮影。ぬいぐるみが子どもたちに本を選ぶ様子や、受け付けで司書の職業体験をする様子、職員に読み聞かせしてもらう様子など、図書館の雰囲気が伝わるような場面を選んだ。

 アルバムは学校図書館の装飾などを手がける「KLV(カリブー、鹿沼図書館ボランティア)協会」の協力を得て、2日間かけて制作した。「この子は最近来る頻度が減っているから、写真を多めにしよう」「この2人は兄弟だからレイアウトをそろえよう」などと相談しながら、手作りのアルバムを完成させていった。

 17日は子どもたちがぬいぐるみを迎えに続々と同館を訪れ、久々の再会を喜んだ。西鹿沼町、小学2年益子友遥(ますこともはる)君(7)はいつも一緒に寝ている「くまちゃん」を迎えに来た。職員から贈られたアルバムを開くと「寂しかったけど、かわいいアルバムをもらえてうれしい。今度は他の人形も連れてきたい」と笑顔を見せ、ぬいぐるみが選んだ推薦図書を借りていた。

 企画した司書の福田美智子(ふくだみちこ)さん(56)は「みんなが喜んでくれてよかった。次回開催を求める声も多かったので企画したい」と話した。

子どもたちにプレゼントしたアルバム
子どもたちに絵本を選ぶぬいぐるみたち。職員がこっそりと撮影している

© 株式会社下野新聞社