F1参戦準備を進めるアウディ、PUシミュレータードライバーにニール・ジャニを起用

 2026年からザウバーと提携してF1に参戦するアウディが、同社のF1パワーユニット(PU)開発のためのシミュレータードライバーとして、ニール・ジャニと契約したことを発表した。ドイツ・ノイブルクのファクトリーにあるダイナミックシミュレーターは、F1パワーユニット開発のためにアップデートされており、F1パワートレイン開発担当シミュレータードライバーに就任するジャニは、それを使ってコンセプトおよびエネルギーマネジメントの分野を中心に作業を行っていく。

 2026年にF1パワーユニットレギュレーションが一新され、100パーセント持続可能な燃料が使用され、電力の利用の割合が増やされることが決定したことを受け、アウディはパワーユニットサプライヤーとしてF1に参入することを決定した。現在アルファロメオとしてF1活動を行っているザウバーが、アウディのワークスチームになる。

2023年上海モーターショー F1プロジェクトのプレゼンテーションを行うアウディAG取締役会会長マルクス・ドゥスマン

 ジャニは、2006年にトロロッソ(現アルファタウリ)のサードドライバーを務め、F1シミュレーターの経験を持つ。レーシングドライバーとしては、耐久レースにおいてハイブリッドレースカーで素晴らしいキャリアを築いており、ポルシェのファクトリーチームでWEC世界耐久選手権の2016年タイトルを獲得、ル・マンでも優勝した。

 AUDI AG 技術開発担当取締役 オリバー・ホフマンは、ジャニの起用について、次のように語った。

「シミュレーターはパワーユニット開発のための重要なツールだ。技術の理解に加え、多彩な経験をプロジェクトにもたらしてくれる開発ドライバーが必要だ。特に、レーシングコンディションでのエネルギーマネジメントの分野が重要になる」

アウディのF1パワートレイン開発担当シミュレータードライバーに就任したニール・ジャニ

 ジャニは「F1参戦へのアウディの道程に同行することができ、うれしく思う」と語った。

「このような大きなプロジェクトに初期段階から関与できることは、光栄であると同時に大きな責任を感じる。F1とLMPプロジェクトでの経験を生かし、理論と実践をうまく結びつけることができると確信している」

 アウディ・フォーミュラ・レーシングのCEOであるアダム・ベイカーは、シミュレーション作業の重要性について次のように語った。

「現在我々は主に、パフォーマンスと関連性の高い基本コンセプトに焦点を当てている。さまざまな技術的な解決策を評価する際に、デジタルの手法だけに頼っているわけではない。シミュレーションから正しい結論を導き出すためには、ノウハウ、経験、実践に即した開発が不可欠な要素となる。その組み合わせにより、我々は早い段階でさまざまな運用戦略を評価し、パワーユニットの効率的なエネルギーマネジメントを実現するための道を開くことができるのだ」

 アウディは2022年末から単気筒エンジンのテストを行っており、最初のハイブリッド・パワーユニットのダイナモテストは今年中に行われる予定だ。

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