核兵器 総合的に評価 長大レクナが年度内に政策提言へ 肯定、否定の双方から論点整理 

研究プロジェクトの意義を説明する吉田センター長(中央)ら=長崎市文教町、長崎大

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の吉田文彦センター長は22日にあった記者会見で、自身が代表を務める研究プロジェクト「安全保障を損なわない核軍縮」(2021~23年度)で「核兵器を総合的に評価し、本年度中の政策提言を目指す」との考えを示した。国内外の政策担当者に向けての発信を想定している。
 核軍縮を巡っては、保有や使用、威嚇などを禁じる核兵器禁止条約を推進する非保有国と、核抑止力を堅持する保有国や日本を含む「核の傘」の下にある国との分断が深まっている。
 同プロジェクトは核軍縮の進展を促す狙いで、核抑止や核共有などを肯定、否定双方の立場から論点を整理し、総合的に評価する。国内の研究者12人が▽国際政治・安全保障▽核不拡散▽国際法ーの3分野に分けて考察している。
 吉田氏は会見で「分断を乗り越え、共通的な利益を見いだしながら、やるべきことを考えていくには(肯定と否定)双方の立場を見る必要がある」と研究の意義を強調。個人的な見解として「まずは核使用リスクを低減するため、核兵器の数や役割を減らす手だてを検討しながら、通常兵器を加えた新たな軍備管理の必要性などを念頭に提言をまとめたい」と述べた。
 レクナは同日、論考集「核兵器問題の主な論点整理 国際政治・安全保障編(改訂版)」をホームページ(HP)で公開した。

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