都内“アンテナショップ”閉店相次ぐ 背景は?

都内にあるアンテナショップの数は、この10年あまりは増加傾向が続いていましたが、一昨年から減少に転じました。都内にいながら全国の名産品が購入できるアンテナショップ。今、転換期を迎えているようです。

千代田区有楽町。平日の昼間にも関わらず、北海道のアンテナショップには多くの人が訪れています。

利用客:「月に3回くらいは来る。(買うのは)やっぱり海産物。ちょっと工夫したものを何か作ったりとか」「(買うのは)夕飯のおかずになるような豚丼とか、あとはおやつ代わりにソフトクリームですね」

新型コロナの影響で一時、店の売り上げは以前に比べ6割ほどに落ち込みましたが、現在、9割近くまで回復。多いときで利用客は一日3500人以上訪れています。

コロナ禍からの復活を遂げるアンテナショップがある一方で、閉店を余儀なくされた店舗も。2008年から営業を続けていた、群馬県のアンテナショップ「ぐんまちゃん家」。群馬県はコロナによる利用客の減少や店舗を維持するためのコスト高騰などの理由から去年12月、その運営を終了しました。地方行政に詳しい木下さんはアンテナショップの減少について、都心の不動産価格高騰の影響も大きいと話します。

専門家 木下さん:「(アンテナショップが)都内で90年代とかに増えていった1つというのは、不動産が安かったっていうのがあると思います。(地価が)ここ昨今上がってきているので、1個300円のお饅頭とか売っていても採算が取れるはずが全くないので、違うやり方のほうがいいのではないかという風に考えが変わってきているという流れじゃないか」

近年、銀座など都内の一部の不動産価格はバブル期の価格を超えるまで高騰していて、店舗の運営予算を圧迫しています。

さらにアンテナショップに意外なライバルが、「ふるさと納税」です。木下さんによりますと、ふるさと納税は名産品を家にいながら手軽に入手することができる上に節税対策にもなるため、アンテナショップの利用客が流れているのではないかと分析しています。

転換点を迎えるアンテナショップ。新たな取り組みを始める自治体も登場しています。

記者:「こちらのお店、兵庫県の「公民連携型アンテナショップ」に認証されておりまして、パンフレットであったり、PR動画を流すことで兵庫県の魅力を発信しています」

新たなアンテナショップの形、「公民連携型」とは?

兵庫県柴田さん:「首都圏で兵庫ゆかりの商品やサービスなどを取り扱う店舗を「アンテナショップ」として県が認証し、認証店は県の観光情報などのPRを行う一方で、県も認証店のPRを行う」

兵庫県は、去年3月に有楽町にあったアンテナショップを閉鎖。全国初の試みとして民間の店舗と協力し、店内で県の観光地を紹介するパンフレットや動画を流すなど「県のPR活動」を行う取り組みを始めました。

兵庫県 柴田さん:「もともとわくわく館(旧アンテナショップ)があったときの補助金が2400万円。一方、今回のこの事業は100万円程度。PRの場も実店舗が今まで1店舗だけだったんですけれども、今回現時点で16店舗。いろんなところで情報発信できるという意味ではかなり利点」

地方自治体の魅力を伝えるアンテナショップ。新たな可能性が広がっています。

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