ファウラーと全米OP覇者クラークがパターの流行をけん引

オデッセイのヴァーサ ジェイルバード パターを使って全米オープンを制したクラーク(撮影/中野義昌)

先週、ロサンゼルスCCで開催された「全米オープン」をテレビ観戦した人であれば、恐らく、優勝したウィンダム・クラークが最近になって中尺でカウンターバランスのオデッセイ ヴァーサ ジェイルバードパターを使用し始め、しかもこれがリッキー・ファウラーのパターのレプリカであるということを耳にしたかもしれない。

より正確に言うと、クラークの優勝パターは“レプリカのレプリカ”なのである。

話は、元々ファウラーが「ザ・アメリカンエキスプレス」の数日前に彼のキャディが使用するオデッセイ バーサ ジェイルバードパターを試し、同週に早くもそのレプリカを実戦投入したところまで遡る。

ファウラーは1月に、「これにはとてもショックを受けたよ。というのも、これまで一度も長めの物や、カウンターバランスみたいな物は試したことがなかったから。とても興味深いのだけど、ある意味、これは僕を自由にしてくれたんだ。ストロークやスタンスを変えたわけではないし、自分の持っている通常の長さのパターを使う時と握り方を変えているわけでもないからね。とにかく、これは僕のために何かを果たしていてくれて、僕が考えなくてもいいようにしてくれている感じがするんだ」と述べている。

それから間もなく、ファウラーの新たな発見による成功を目にしたクラークは、オデッセイにファウラーのパターのレプリカの製作を依頼した。

クラークはこのことについて、「僕らは彼の所属しているフロリダのメダリストGCで一緒にプレーしていたんだ。ベイヒルの前のことで、その頃の僕はパットの調子が良くなく、一緒にプレーしていたリッキーはほとんど全てのパットを入れていたんだ。ラウンド後、僕らは大会へ向けて少しだけ練習し、その時、僕は何球か試しに打たせてもらったのだけど、“うお、これかなり良いじゃん”ということになったんだ。それで僕はオデッセイの知り合いにテキストで、“ねえ、僕にリッキーのパターを作ってくれないかな?”って送ったんだ。そうしたら“じゃあ、スペックは?”と聞いてきたので、僕は“寸分たがわず同じ物”と答えた。だから文字通り、これは同じパターなんだ。それで、僕はきょう、リッキーとジョークを言っていたんだ。彼はグリップを変更し、グリップの長さを1インチ短くしたのだけれど、“そうか、じゃあ僕もグリップを変更して、1インチカットしなきゃ”って言ったんだよ」と述べた。

パターを変えて以来、クラークは快進撃を続けている。彼が日曜に「全米オープン」を制覇したのは記憶に新しいところだが、5月の「ウェルズファーゴ選手権」も制覇しており、それ以外にもトップ10入りを2度果たしている(「バルスパー選手権」の5位、「コラレスプンタカナ選手権」の6位)。

ファウラーもパター変更後は、PGAツアーで9度のトップ15入りを果たしており、これには先週の「全米オープン」での5位タイが含まれる。

ジェイルバードパターをテストするヒコック(左)とヤン(GolfWRX)

クラークとファウラーの成功により、自ずとこんな疑問が出てくる。本当に成功の秘訣はジェイルバードパターなのか?

さて、「トラベラーズ選手権」の火曜日に、GolfWRX.comは練習グリーンでさらに2本のジェイルバードパターが使用されている光景を目撃した。今回その仲間入りをしたのは、クラマー・ヒコックとカール・ヤン(中国)である。

ヒコックのモデルはクラークとファウラーの物とは若干異なり、ネックはダブルベント構造ではなくプランバー型となっているが、ソールは同様に鉛テープで覆われている。このヘッドに加えられた重量は、長くて重いグリップに対するカウンター効果としてしかるべきスイングウエイトを実現するのである。一般的に、カウンターバランスにすることにより、選手によっては、より手を使い過ぎない安定したストロークを実現でき、中央に四角い穴の空いたジェイルバードのマレット型ヘッドは、重心位置をフェースから遠ざけるのを可能にすることでミスヒットに対する高い寛容性を実現している。

ヒコックのパター。ソールが鉛で覆われている(GolfWRX)

火曜にGolfWRX.comと会話をしたヒコックは、数週間前にオデッセイ バーサ ジェイルバード ツアーオンリーパターを入手していたものの、長年のスコッティキャメロンユーザーであることから、ジェイルバードパターを実戦で使用することについては、真剣に考えていなかったと明かした。しかしながら、先週の「全米オープン」におけるクラークのパフォーマンスが彼に再考を促したのである。

クラークの優勝が火曜のパター試打セッションにつながったかと問われたヒコックは、「成功は間違いなく、何かしらのヒントを残すもの。ウィンダムは仲良しの友人で、彼の勝利の後、僕はこれに戻さざるを得なくなった。これはストローク中、手の中で非常に安定しているんだ。ただ、それがグリップによるものなのか、ヘッドによるものなのかは分からないけど」と述べた。

クラークはGolfWRX.comに対し、スコッティキャメロン ゴロ マレットパターもテストすることになると述べている。装着されるグリップは、ファウラーとクラークがジェイルバードで使用している物と同じ、スーパーストロークの17インチグリップである。

どちらにせよ、カウンターバランス仕様のオデッセイ バーサ ジェイルバードマレットパターは、PGAツアープレーヤーの注意を引いており、クラークのメジャー制覇により、このトレンドは益々勢いを増すことになりそうだ。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)

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