大船観音寺|完成に30年費やした"白衣観音様"は、人々を見守る街のシンボル。

大船の山頂につくられ街を見守る大船観音寺は、大きな白衣観音様が鎮座するお寺です。

街のシンボルとも言える白衣観音様は、電車や駅や車など街のいたるところから望むことができます。

白い衣を頭からまとっている白衣観音様〈びゃくえかんのん〉をはじめ、大船観音寺〈おおふなかんのんでら〉のみどころや建立にまつわる歴史などをご紹介します。

澤村

大船観音寺といえば…。

1. 街のシンボル!白衣観音様 2. 白衣観音様の胎内にも入れる 3. イベントや限定の御朱印も見逃せない

https://kamakura-life.net/ofuna/

大船観音寺の見どころ

山門〈さんもん〉

空解脱〈くうげだつ〉・無相解脱〈むそうげだつ〉・無作解脱〈むさげだつ〉という仏教の境地を経ることで辿りつくとされる三解脱門〈さんげだつもん〉を略して「三門」とされる説と、西門・正門・東門という三門構成から「三門」とされる説など、諸説あります。

照心閣〈しょうしんかく:本堂〉

修行僧が「古教照心」という仏教の教えを学ぶところです。古教とは仏教書や先導者からの教えのことで、照心とはその教えを自分に照らすこと。修行中の行いを自ら正すようなときにつかわれます。こちらは売店になっていて、白衣観音様の最中などのお土産や御朱印もこちらで頂くことができます。

大梵鐘〈だいぼんしょう〉

鐘楼とはアジアでみられる仏教法具で、除夜の鐘などで突かれる釣鐘が吊り下げられている建物のことです。小高い丘にあるので景色がよく、天気がいい日は少しだけ富士山も望めます。

白衣観音像様

  • 高さ:25m
  • 幅:19m
  • 重さ:1915t

観音さまが羽織っている衣を「白衣〈びゃくえ〉」というのですが、仏教に属しながら生活する「在家〈ざいけ〉」の方々が羽織るものです。頭部から体全体を覆っている布が白衣なのですが、阿弥陀如来像だと頭部からではなく肩から羽織っています。

人々からは「観音さま」として親しまれていますが、正式な呼称は観世音菩薩〈かんぜおんぼさつ〉で、観音菩薩〈かんのんぼさつ〉とも呼ばれています。観音さまとは、如来を目指す菩薩のこと。人々の苦しみや願いを聞き入れて頂ける仏様として崇められているのです。

胎内〈たいない〉

白衣観音様の背後から「胎内」部分へ入ることができます。

木彫りの千体仏や平和への願いをこめた千羽鶴・建立に関わる資料・写真が散見できます。

慈光堂〈じこうどう〉と聖観音菩薩様

大船観音寺のご本尊である「聖観音菩薩」が祀られているところです。1本の木からまるっと削りだされる一木造〈いちぼくづくり〉の観音さまは、お正月の三が日に御開帳でお姿を拝見できます。

  • 本尊:聖観音菩薩
  • 場所:慈光堂に安置
  • 高さ:81.8cm
  • 作り方:木造の一本造〈いちぼくづくり〉
  • 秘仏なので三が日以外は見ることができない
  • 蓮の上に立っていて、左手の花瓶には蓮の葉と花がさしてある

菩薩とは「悟りを求める仏さま」のことで、達観した仏さまとして振る舞う「如来」になることを目標としています。高みを目指して努力していることから「修行中の仏さま」だとうかがえますが、修行中であるが故のいろんな表情や姿勢があるので、表現豊かな仏像を拝むことができます。

子育て・厄除け地蔵

子宝のご利益がある大船観音寺には「子育て地蔵」があります。子供にまつわるお願い事は、こちらのお地蔵さまに聞き届けていただきましょう。

原爆慰霊碑〈げんばくいれいひ〉

1970年に建立されたもので、原子力爆弾の爆心地付近から寄贈されたものです。土台部分は広島県のグラウンドゼロである西蓮寺〈さいれんじ〉から、土台の上にある石は長崎県のグラウンドゼロ付近にある浦上天主堂〈うらかみてんしゅどう〉からのものです。

平和への祈念塔

1985年に建立された、平和への祈りを込めた石碑。当時の神奈川県知事であった長洲一二〈ながすかずじ〉によるもので、「核兵器もない 戦争もない 平和な世界を」という文言がほられています。

原爆の火

福岡県八女市に「星のふるさと公園」があります。公園内に「平和の塔」というモニュメントがあるのですが、広島に落とされた原子力爆弾により燃え続ける石が安置されています。これを「原爆の火」と呼ばれているのですが、こちらの原爆の火を分けていただき、大船観音寺にも安置されています。

大船観音寺は桜の名所

大船観音寺では3月下旬〜4月上旬にかけて桜が咲きます。桜バージョンの御朱印も用意されています。

  • ソメイヨシノ
  • 河津桜
  • シダレザクラ
  • オカメザクラ
  • オオシマザクラ

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ライトアップ

大船観音寺では、時期によって白衣観音様がライトアップされます。ピンク・グリーン・ブルー・パープル・オレンジなどの色合いで照らされるのですが、色ごとに意味が分かれているのです。

ピンク

乳がん検診推進運動「ピンクリボンかながわ」10月中→アメリカがん協会が乳がん早期発見強化月間を10月に設定していることを受けて

グリーン

臓器移植をPRする「グリーンリボンデー」10/16→臓器移植法が施行されたのが1997年10月16日にちなんで

ブルー

「世界糖尿病デー」11/14→インスリンを発見したカナダ出身のバンティング博士の誕生日が11/14

パープル

「てんかんパープルデー」3/26→カナダ在住のキャシディー・メーガンさんが好きなラベンダーの色が紫であることから

オレンジ

「世界アルツハイマーデー」9/21→国際会議で「世界アルツハイマーデー」の宣言をされた日が1994年9/21であることから、この日に制定されました。

オレンジカラーの理由は、日本の陶芸家である酒井田柿右衛門〈さかいだかきえもん〉がつくりだしたものにはオレンジ色が映えるような作品があり、ヨーロッパで人気を博したことからだそうです。

マスコットキャラクター「のんちゃん」

イベントの時など、のんちゃんに会えます!のんちゃんのお守りも販売しています。

大船観音寺のご利益は、平和・子宝・縁結び

大船観音寺のご利益は、平和・子宝・安産・縁結び・延命というぐあいに幅広いです。山頂でたたずむ白衣観音さまの背後から「胎内」部分へ入れるのですが、平和への祈りがこめられ「千体仏供養」が安置されていたり、自由に書きこめるノートがあり、「子宝成就」を願うものが多く書かれています。

元女子プロレスラーのジャガー横田さんが大船観音寺で参拝後に、44歳で自然妊娠して、45歳で出産した話は有名です。この話が「子宝成就」というご利益を際立たせています。

大船観音寺の「子宝成就」にまつわるエピソード

  • 子育て・厄除け地蔵
  • 観音様の胎内に千体仏供養
  • ノートには「子宝成就」を願うものが多く書きこまれている
  • 縁結びの木
  • 44歳で自然妊娠・45歳での出産したジャガー横田さんが、大船観音寺で参拝後に成就したことから「子宝成就」として有名に
  • 絵馬にも「子宝成就」を願うものが多い
  • 子宝のお守りもあり

大船観音寺の御朱印と御朱印帳

通常御朱印

  • 300円

通常御朱印帳

  • 1500円

限定御朱印

大船観音寺は、限定の御朱印も豊富!
毎年恒例ではないですが、その年によって色々な限定御朱印が登場しています。

  • 2023年6月あじさいの御朱印
  • 2023年4・5月鯉の限定御朱印
  • 2023年4月花まつり限定御朱印 など

限定御朱印帳

  • 木のぬくもりシリーズ 3000円

お守り

  • THE御守:700円
  • 家内安全:700円
  • 諸願成就:700円
  • お経の御守:700円
  • 開運/厄除け:700円
  • のんちゃん御守:700円
  • 足腰御守:700円
  • 健脚健康守:700円
  • 病気退散:700円
  • 魔除守:700円
  • 身体堅固:700円
  • 成就守:700円
  • 仕事守:700円
  • 合格祈願:700円
  • ランドセル守:700円
  • 心願成就守:700円
  • 学業成就:700円

澤村マスコット”のんちゃん”のお守りもあります!### 絵馬

大船観音寺らしい白衣観音様の絵馬も販売しています。

大船観音寺のイベント

大船観音寺では、毎月のようにイベントが積極的におこなわれています。

ここに記載されている部分以外でも、期間限定の限定御朱印や、のんのん祭りや観音様の集いなど、様々なイベントがあるので、大船観音寺へ向かう際はサイトをチェックしてから向かわれることをおすすめします。

1月1日〜3日初詣1月18日初観音会2月1日節分会2月15日釈尊涅槃会3月の彼岸中春季彼岸会4月8日釈尊降誕会5月18日観音大祭6月吉祥日願の灯7月初旬盆施食会7月10日四万六千日9月彼岸中秋季彼岸会9月秋期夢観音/慰霊祭11月15日七五三参り12月第1週の週末師走観音12月8日釈迦成道会12月18日納め観音12月31日除夜の鐘

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坐禅会と法話会は中止に

毎週日曜日に開催されていた座禅会や月一開催の法話会は、現在コロナウイルス防止のため開催を中止しています。

大船観音寺の歴史

白衣観音様は、完成まで30年もの時間がかかっています。

当初は奈良の東大寺にあるものよりも2倍程度のサイズで建設予定されていました。

第二次世界大戦や世界恐慌などに見舞われることで、お金がうまく集まらなかったり、建立地点の地層環境だと地すべりするなどの観測から、立像を断念した形となっています。

立像から座像へしようかという話がでたのですが、座像だと地形との調和がとれないということで、頭から胸までの「胸像」で落ち着くかたちとなりました。

  • 【1929年】建設スタート
  • 【1934年】工事中断
  • 【1957年】再スタート
  • 【1960年】完成

時代が大正から昭和へ移り変わって間もない昭和2年2月に、建立に向けてのプロジェクトとして動き始めました。大船観音寺は昔々に建てられたようなものではなく、鎌倉に現存するお寺の中では比較的最近のものです。

「観音思想の普及を図り、以て世相浄化の一助となさん」というテーマをかかげ、「護国大観音建立会」というプロジェクトチームから生まれました。

戦争と世界恐慌という波に襲われプロジェクトの進行が頓挫しかけていたところに、実業家・政治家・官僚である五島慶太〈ごとうけいた〉さんの呼びかけをはじめ、大船観音寺の建立に向けてのプロジェクトが再び動き始めます。

五島慶太さんに加え、ジャーナリスト・政治家であった安藤正純〈あんどうまさずみ〉さんと、お坊さんである高階瓏仙〈たかしなろうせん〉さんがプロジェクトの核となり、チーム名も「大船観音協会」に変更しました。

この時、プロジェクト結成当時に掲げていたテーマも「平和への祈り」へと静かに置き換わることとなります。第二次世界大戦による天皇主義の崩壊で、プロジェクト発足当時の「護国」という概念をテーマとして掲げていくことが難しくなったためです。

大船観音協会の理事長を務めていた牧野良三〈まきのりょうぞう〉さんの逝去後、横浜にある総持寺の岩本勝俊〈いわもとかつとし〉禅師が就任されました。このときに、信者や参拝者からの声で「信仰の場」として移り変わると同時に、大船観音協会から大船観音寺へと納まっていったのです。

横浜にある総持寺〈そうじじ〉が本寺、大船観音寺が末寺

完成後の大船観音寺は、大船観音協会により運営されていました。当時の理事長が逝去されてからは、横浜市にある総持寺〈そうじじ〉の貫首を務める岩本さんが大船観音寺の理事長も務めることとなります。

信仰者とのコミュニケーションにより、大船観音協会というくくりから「大船観音寺」へ正式に推し進めていった経緯があり、横浜の総持寺が本寺で鎌倉の大船観音寺が末寺、という位置づけとなりました。

大船観音寺のアクセス方法・拝観料・営業時間

大船駅からは徒歩5分程度ですので、電車でのアクセスがおすすめです。

拝観時間9:00 ~ 16:00拝観料高校生以上:300円、小/中学生:100円住所神奈川県鎌倉市岡本1-5-3電話番号0467-43-1561アクセス大船駅西口から徒歩5分駐車場なし▶︎周辺の駐車場を事前予約する



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