うわっ……日本の女性政治家少なすぎ!?過去最低となってしまった日本政治のジェンダーギャップに関する知識まとめ 

スイスのシンクタンク「世界経済フォーラム」が6月21日、世界各国の男女格差を示す「ジェンダーギャップ指数」の最新の報告書を発表しました。日本の総合ランクは2006年の調査開始以降最低の146カ国中125位まで後退し、特に「政治分野」では138位となり、日本政治での男女平等がいまだに世界より遅れている現状が露呈しました。

138位の理由は、議員・閣僚の少なさ&女性総理ゼロ!

まず、今回の世界経済フォーラムの結果から、日本の立ち位置を確認してみましょう。

同報告書では、政治分野のスコアを「国会議員(衆議院議員)の男女比」「閣僚の男女比」「過去50年間の総理大臣の在任年数の男女比」の3項目で採点しています。スコアは0~1で、数値が小さいほど男女格差が大きいことを示しています。

日本の政治分野のスコアは0.057で138位。平均スコア(0.684)を下回り、政治分野1位のアイスランド(0.901)に大きく水を開けられ、先進国では最低レベルです。

「議員に占める女性の割合」は、スコアの衆議院で約10%。4月の補選を経た最新の割合(2023年5月現在)では464人中48人です。なお、スコアの算定には含まれていませんが、参議院は247人中66人です。

「閣僚に占める女性の割合」は20人中2人のみ。

「過去50年間の総理大臣の在任年数の男女比」に至っては、女性総理がいませんのでゼロです。

プレイバック女性閣僚 歴代最多は何人?

指標の2番目の女性閣僚についてみていきましょう。

現在の岸田内閣での女性閣僚1人目は、文部科学大臣教育未来創造担当の永岡桂子衆議院議員

永岡氏は6期目で、2022年8月に第1次岸田政権に文科相として初入閣し、昨年8月に発足した第2次岸田内閣でも続投が決まり、現在に至ります。

2人目は、経済安全保障担当 内閣府特命担当大臣(知的財産戦略 科学技術政策 宇宙政策 経済安全保障)の高市早苗衆院議員です。

高市氏は9期目で、これまでも総務大臣や内閣府特命担当大臣として入閣した経験があります。総務大臣には5回任命され、在職期間は史上最長を記録しています。

世界最低とランク付けられてしまった日本の女性閣僚数ですが、国内の推移はどのような状況なのでしょうか。

内閣府男女共同参画局がまとめたデータによると、最も多かったのは、第1次小泉内閣(2021年4月~)、第2次安倍改造内閣での5人でした。

第1次小泉内閣では、法務相に森山眞弓・衆議院議員、外務相に田中眞紀子・衆議院議員、国土交通環境相に扇千景・参議院議員(当時保守党、のちに自民党復党)の女性国会議員3人に加えて、遠山敦子文部科学相と川口順子環境相の民間人材2人も起用されました。

第2次安倍内閣では、総務相に高市早苗・衆議院議員、法務相に松島みどり・衆議院議員、経済産業相に小渕優子・衆議院議員、国家公安委員会委員長・拉致問題担当・海洋政策・領土問題担当・国土強靱化担当・内閣府特命担当(防災)相に山谷えり子・参議院議員が入閣。この時新設された女性活躍担当相には有村治子・参議院議員が就任(少子化対策担当、行政改革担当など兼務)しました。

ただし、小渕経産相と松島法務相は、それぞれ政治資金や公選法にまつわる問題が発覚し、任期途中で辞任。法務相の後任には上川陽子・衆議院議員が就任しました。

ちなみに、日本で初の女性閣僚となったのは第1次池田内閣(1960年)に厚生大臣を務めた中山マサ衆議院議員(自民党)でした。

なお、2009年から2012年の民主党政権下では、厚生労働大臣と内閣府特命担当大臣(少子化対策)に小宮山洋子・衆議院議員、内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)に蓮舫・参議院議員、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全少子化対策男女共同参画)に福島瑞穂・参議院議員らが要職を務めました。

女性閣僚は60年も前に誕生していましたが、日本では半世紀以上も女性閣僚は増えずに低空飛行を続けているのが実態のようです。

北欧では30代首相も!日本初の女性総理はいつになる?

最後に、女性のトップの話です。

岸田文雄総理は第101代目になります。これまでの100代にわたる内閣総理大臣に女性は1人もいません。

日本で総理になる条件として憲法に定められているのは、国会議員であること、文民(軍人ではない人)の2点ですが、自民党政権下では自民党総裁がそのまま内閣総理大臣になることが慣例です。総裁になるまでには、党内の国会議員20人の推薦を集めた上で総裁選に立候補し、議員や党員による投票で選出される必要があります。国を率いるリーダーシップに加えて、党内から推される「人望」も求められます。

こうした中、これまで自民党総裁選に立候補した女性は現東京都知事の小池百合子氏(当時衆議院議員5期目、56歳)、2021年総裁選にともに立候補した野田聖子氏(当時衆議院議員9期目、61歳)と高市早苗氏(当時衆議院議員8期目、60歳)のわずか3氏にとどまっています。いずれも、期数を重ね、閣僚などの政治経験を得てからの挑戦でした。

世界経済フォーラムの政治分野上位の国で共通しているのが、女性リーダーの存在です。首位のアイスランドの首相はカトリン・ヤコブスドッティル氏です。3番目のニュージーランドでは、前首相のジャシンダ・アーダーン氏が37歳で就任して、在任中に妊娠・出産を迎えました。新しいリーダー像として世界中から注目を集めました。4番目のフィンランドでも、サンナ・マリン氏が当時の同国の史上最年少となる34歳で首相に就任しています。上位の各国では、女性の政治参画が進み、女性政治家の数が増えるのに伴い、30~40代の内から女性が要職に就いて活躍する土壌が出来上がりつつあるようです。

女性活躍の数だけでなく、質の面でも日本と先進各国とでは隔たりがあります。

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