ハーレーの特別限定車〝CVO〟はどこがすごいの? 元ディーラー店長が解説

ハーレーダビッドソンに興味を持ち始めて専門誌やwebを見ていると時々目にするのがCVOという呼び名です。CVOとはカスタム・ビークル・オペレーションの略名です。

単語の意味を説明するよりも、分かりやすく噛み砕いて言うと〝ハーレーダビッドソンが作る特別なカスタムを施した限定車〟のことです。

「何か普通のと違うよね。」とか「メチャカッコイイ!」とか、とにかく一般のユーザーが見ても他のモデルとの違いが分かる存在がCVOなのです。

ハーレーダビッドソン米国本社CEO ヨッヘン・ツァイス氏

ハーレーダビッドソンジャパン代表取締役 野田一夫氏## 生産工程が違うCVO

2023年CVOが発表された会場には過去のCVOモデルも展示されていた

CVOが特別な理由は、普通のモデルと違い特別な制作過程を経て作られているからです。
なんと熟練の職人が、エンジン、パーツ、ペイントなど厳選したものから1台1台手作業で作り上げていくのです。その出来映えは素晴らしく、いつの時代もハーレーファンの胸を熱くするのも納得!

その年に出た新車のCVOを買い逃すと、同じものは翌年以降買えないといったケースもあり、非常に希少なモデルでもあります。余談ですが、中古車市場でもモデルによっては高値で流通しているCVOを見ることがあります。

CVOストリートグライドとCVOロードグライドの違いをチェック!

CVOがいかに特別なモデルであり、貴重な車両であることが理解いただけたと思います。
それでは、今回発表された2023CVOの2モデル見ていきましょう。
まず最初にCVOストリートグライドとCVOロードグライドの違いからご説明します。

CVOストリートグライド

ぱっと見の違いはフェアリングのデザインです。
ストリートグライドは昔からハーレーといえばこれと言われているいわゆる「やっこカウル」というデザイン。かたやロードグライドは鮫のイメージからシャークノーズスタイルと呼ばれるデザインです。
正面から見るとその違いは一目瞭然。

デザイン以外での大きな違いはストリートグライドのフェアリングはハンドルに装着されていますが、ロードグライドはフレームに装着されています。これは何を意味するかと言うとストリートグライドの方がハンドル操作が重く、ロードグライドの方が軽いということになります。

CVOロードグライド

ただし、重いとは言っても車体とのバランスは絶妙に取れているので乗りづらいということではないのでご安心ください。

また、これは感覚的なものですがストリートグライドはハンドルを切った方向にフェアリングは向きますが、ロードグライドはハンドルを切ってもフェアリングは真っ直ぐのまま。ですので、人によっては慣れが必要かもしれません。

そしてロードグライドの方はフェアリングにボリューム感があるのでライダー側から見ても大柄に見えますストリートグライドの方がライダー側からの見た目はメーター類も近くコンパクトな印象です。

ハンドル形状もフェアリングのデザインに合わせて違いますが、両モデルともゆったりとロングツーリングに適したポジションが取れるのでどちらを選んでも満足いただけると思います。

2023CVOストリートグライドとロードグライドの注目ポイント

両車とも離れて見ると既存の同モデルとシルエットに一見大きな違いは無いように見えますが、近づいて見るとフェアリング、タンク、サドルバッグへと続くラインが洗練され、それぞれがラグジュアリーなデザインに進化しました。日本的な表現で言うと高級感が増した印象です。

印象的なLEDライト

そして最もインパクトを感じるのが新しいデザインのフェアリングに施されたLEDライトによるいわゆる「ハーレーの顔」の演出。

ストリートグライド鷲が羽を広げたようなイメージロードグライドはこれまでの二つ目のライトから横長の一つ目となり遠くからでもこの両モデルが新しいCVOと認識できるデザインになりました。

ツーリング中、前から来るバイクが見たことのない顔だとつい目で追ってしまいますよね。まさに、「今のは何!」と注目を浴びること必至の新しいCVOの顔です。

見やすく使いやすい大型ディスプレイ

ライディングポジションを確認しようと跨ってみて最初に目に飛び込んだのは大型のディスプレイ画面。スピードメーターやタコメーターも組み込まれて一体化しているのでその分大型化されて見やすくなりました。

この大型ディスプレイの中にオーディオ以外にも車体の様々な機能や情報が満載されています。これはひとつひとつ触って操作を覚えていく楽しみがありますね。

スピーカーシステムはプレミアムで高機能なRockford Fosgateを採用。

ハンドル左右に付いているスイッチの形状も新しいデザインになっています。

ウインカースイッチ、エンジン始動のスタータースイッチも変更されビジュアルだけでなく操作性も向上しています

ストリートグライドにはディスプレイの下に引き出しタイプの小物入れが追加されました。ボタンを押すとスッと手前にトレイが出てきます。

これは使えますね。ライダーにとって手元に小物入れがあると言うのは想像以上に重宝するものです。

良好な足つき!

ライダーなら誰もが気にする「足つきはどうなの?」というと。

身長169cmの私がスニーカで跨っても両足がほぼ踵までついてしまうほど良好です。オートバイ用のブーツを履けば160cmくらいの女性でもこれならいけるでしょう。

タンデムシートの乗り心地も快適

タンデムシートの厚みもしっかりとある## ライディングしやすいハンドル位置

ストリートグライドは手を伸ばせば自然な位置にグリップがそこにあるという感じですね。ロードグライドは見た目ではハンドルが高く乗りにくいのではと思いましたが、手を伸ばすとこれが何と丁度いい高さと位置にグリップがあり驚きました。

最近はハンドルを高くするカスタムを好む方が多いのですが、結果高くし過ぎて乗りにくくなるということもあるようです。しかし、このロードグライドのハンドルならカスタムの必要がないのではと思いました。もちろん取り回しや操作性もバッチリです。

足つき性もいい上にハンドル位置も楽ちんですので小柄な方にもお勧めできます

従来モデルよりも軽くてパワフル!

車重は以前の同モデルのCVOより20kgも軽くなっているそうなのでこれも安心材料のひとつです。
性能的なことで言いますとエンジン排気量は121キュービックインチ。

キュービックインチという単位は日本では馴染みがありませんが、ccで言うと1977ccになります。
これはハーレーでは最大の排気量です。

排気バルブ部分に焦点を当てた冷却システムを採用

エンジンは空冷ですが、今回のCVOには新たな冷却システムを取り入れているので熱対策も施されています

足回りはフロントサスペンションは倒立フォークブレーキシステムもブレンボ製のコンポーネントということで進化しています。

最後に2023のCVOを総括

今回発表されたCVOは、ハーレーダビッドソンがこれまで作り続けてきた空冷エンジンを搭載するモデルとしては歴史に名を刻む究極のモデルになるかもしれません。

今年120周年を迎えたハーレーダビッドソンが最高レベルのビジュアルパフォーマンステクノロジーこの3つの要素をふんだんに盛り込んだ2023CVOを体験出来る人は多くはないと思いますが、運良くオーナーになられた方はこれまでにないハーレーダビッドソンの世界観を味わう至極の時間を得ることになるでしょう。

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