色褪せない洒脱でクールな名曲群、ICE30周年の大阪ライブ

ICEというユニットを知っているだろうか? 90年代初頭の音楽シーンで活躍していた、プロデューサー、ギタリストの宮内和之とボーカルの国岡真由美によるユニットだ。当時、東京のクラブシーンではピチカート・ファイブを筆頭に、ラヴ・タンバリンズ、コーザ・ノストラ、エスカレーターズ、スモール・サークル・オブ・フレンズ、ポート・オブ・ノーツ・・・といった男女ユニットが次々に生まれていた。

2023年にメジャーデビュー30周年を迎えたICE(写真/田中聖太郞)

いわゆる「バンド」ではなく、歌姫と彼女をプロデュースする男性コンポーザーが表舞台にたつ「ユニット」というスタイルは、90年代以前にはあまりなかったもので、ソウル、ジャズ、レゲエ、ラテン、ボサノヴァといった音楽を独自に消化したサウンドに日本語女性ボーカルをフィーチャーした洒脱なサウンドの革新性もあいまって、マニアックな音楽ファンからおしゃれピーポーまでが夢中になった。

当時、多くのアーティストがブレイクするきっかけとなっていた銀座ジュエリーマキ「カメリア・ダイヤモンド」のCMソングに7thシングル『GET DOWN,GET DOWN,GET DOWN』(1996年)が起用されると、ICEの名は瞬く間にお茶の間にまで浸透。同年にリリースされた5thアルバム『SOUL DIMENSION』はオリコン週間チャートで5位にランクインした。

宮内による洗練されながらもエッジの効いた70年代ソウル色の強いサウンドプロダクションと、国岡の独特のクールネスを纏ったボーカルで唯一無二の存在感を放っていたが、2007年に宮内が病気により逝去。その後、2009年から国岡ひとりで活動を再開、ソロ活動のほか、バンド編成のICEとしてライブやDVDのリリースをおこなってきた。

ICE – HIGHER LOVE~20th Anniversary Best トレーラー

そして2022年12月、デビュー前の未公開音源を収録したアナログ盤『ICE Early Years[1990ー1992]』がデビュー30周年でリリースされたのをきっかけに、過去の音源が次々に復刻され、2023年4月に東京・渋谷のライブハウス「WWW」で開催されたアニバーサリーライブでは、往年のシングルを畳み掛けるように熱唱。会場は90年代プレイバックな熱気に包まれたという。

7月21日におこなわれる大阪「Music Club JANUS」でのライブは、その追加公演となるもの。当時を知る人も知らない人も、渋谷系とJポップの狭間で唯一無二の存在感を放ったICEサウンドを体験してはいかがだろうか。チケットは指定席はソールドアウト、後方スタンディング8500円は残りわずか(小学生以上要チケット、未就学児童入場不可)。詳細は公式サイトにて。

文/井口啓子

ICE

日時:2023年7月21日(金)・19:00〜
会場:Music Club JANUS(大阪市中央区東心斎橋2-4-30 5F)
料金:指定席9500円(完売)、後方スタンディング8500円
※ドリンク代金別途要、小学生以上要チケット、未就学児童入場不可
電話:06-6882-1224(GREENS)

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