<レスリング>【2023年明治杯全日本選抜選手権・特集】健闘選手の声(女子)

 

(2023年6月15~18日、東京・東京体育館)


 ■50kg級2位・吉元玲美那(KeePer技研=決勝で須﨑優衣に3-4で黒星)「須﨑選手は、目標というより、自分が倒さなければいけない相手と思い、練習してきました。自分がパリ・オリンピックに出場する夢が100パーセント途絶えたわけではないけど、須﨑選手は世界選手権でメダルを取ってくると思う。自分は10月のアジア大会の代表に選ばれているので、日本代表の名に恥じないように今回の反省をつなげていかないといけない。

 できるだけ早く気持ちを切り換え、前に進んでいきたい。今後は自分の考え方、練習の仕方など全てを見直したい。絶対に変えないと、次の試合も同じ展開になる。この世界は結果がすべて。タックルに入ったら失点をなくして、自分が必ずポイントを取るようにしたい」


 ■53kg級3位・志土地真優(ジェイテクト=準々決勝で藤波朱里にフォール負け)「明治杯に向け、海外(アメリカ)で練習を積んだりしてきた。(藤波戦は)思い切っていけた、とは思う。でも相手はそれ以上に強かったのだと思います。得意のタックルはやっぱり警戒されていました。

 今後は、志土地コーチと話し合って、次どうするかをしっかり計画を立てたい。正直、(藤波に負けたことで)パリ・オリンピックに向けては厳しい状況になってしまいました。ここですぐ気持ちを切り換えることができるかどうか分からないけど、一回しっかり休んで次に向かいたい」


  ■57kg級・南條早映(東新住建=決勝のラスト1秒を切って逆転を許す)「気負わず、いつも通りにやろう、という気持ちでした。同じような失敗をしてしまった感じです。合宿では毎日くらい、何度も手を合わせている相手。攻撃を防ぎつつ、自分がポイントを取るつもりでした。スパーリングの延長のようなつもりでやっていましたけど、試合ではすごい勢いで攻めて来て、自分が対応し切れなかった感じです。

 後がない状況になりました。所属へ帰って反省点を修正し、プレーオフは絶対に勝って世界選手権へ行きたい。絶対に自分が出る、という気持ちです」


 ■57kg級5位・金城梨紗子(サントリー=準決勝で櫻井つぐみにテクニカルフォール負け)「疲れました(微笑)。正直、12月の全日本選手権の時は病み(出産)上がりということもあって調子はあまりよくなかった。今回は体調を崩すこともなく、バッチリ調整することもできました。勝負なので勝ち負けはつきもの。今回は負けになってしまった。

 子供の頃からレスリングを始めて、この競技をやっていなかったら味わうことがなかった感情を味わうことができた。レスリングをやっていて本当によかったと思います。パリ・オリンピックへの道は厳しくなったけど、レスリングが好きという気持ちに変わりはない。これからも練習はするけど、若い子たちの頑張りを見ながら「もう一回(わたしも)食らいつけるかな」と考えていこうと思います。

 東京オリンピックが終わったときには『これで57㎏級は最後かな?』と思っていた。それから結婚、出産、育児と密度の濃い2年間を過ごしてきた。こうして大きな大会に戻ってこられたのはうれしい。優勝してパリを目指すことができていたら、もっとカッコよかったと思いますけどね」


 ■62kg級3位・尾﨑野乃香(慶大=昨年の世界チャンピオン。準々決勝で稲垣柚香に敗れ、今年の世界選手権出場はなくなる)「(天皇杯全日本選手権で負けているので)もうあとがない状況。今大会で優勝しないといけなかったんですけど、オリンピックは厳しくなってしまった。今は何も考えられない状況です。

 ラスト30秒くらい(の対処)はいつも練習でやっていました。勝っていたら攻める姿勢を見せて相手に攻めるスキを与えない練習。最後、心の勝負になるというところでの練習をしていた。心で負けたというより、腰が浮いていることも自分で感じた。心と身体が連動しなかったところもある。相手の猛攻を抑えようという思いになってしまったのがいけなかったと思います」


 ■62kg級3位・類家直美(レスターホールディングス=練習拠点を移しての初戦。準決勝で元木咲良に敗れながら3位へ)「勝つために練習してきたのに、それが全然できなかった。組み合っても、入られるのを怖がって自分から攻めることができなかった。元木選手以外にも、タックルに入られると弱いことは分かっていたのに、それができなかった。組んでから動けるようになっているので、少し成長しているような気はします。

 (練習環境が変わり)新しい技を覚えたりして新鮮な気持ちで練習に取り組めてはいます。毎日、何らかの収穫があるので、これを長く続ければ結果が出ると思っています」


 ■68kg級2位・川井友香子(サントリー=予選で勝った森川美和に決勝で敗れ、優勝を逃す)「負けてしまいましたが、やり切れたと思います。この階級に初めて挑戦し、ずっと逃げたくて…。レスリングをやめて、どこかに行ってしまいたいと思いました。それを思うと、よくここまでできたな、と思います。結果より、やり切ることがテーマでした。それは達成できたと思います。

 68kg級に出ることを決めてからは重い階級の選手と闘えるような練習をしてきました。このあと、どの階級で闘うか分かりませんが、出場する階級に合った練習方法を見つけていきたい。パリ・オリンピックの出場は難しくなったけれど、次の目標を探して頑張っていきたい」


 ■68kg級・石井亜海(育英大=準決勝で森川美和に敗れ、世界選手権の代表決定はプレーオフへ)「きのう(の予選リーグ終了後)、『自分の納得できる試合を前提に』という話をしたと思う。今日の準決勝の内容は勝っていたとしても、納得していない。結果論かもしれないけど、自分を納得させることができなかった。相手よりまず自分に勝つことができない試合だったと思います。

 敗因は、シンプルに緊張だと思う。自分は責任感が強い人間ではないけど、プレッシャーとか不安とか…、負の要素に負けてしまいました。相手の技術がうまかったというわけではなく、そういう感じがします。相手にタックルに入られてグラウンドで返されたりしたけど、まずその前に技術面も自分の良さを出せるように修正していきたい」


 ■76kg級・茂呂綾乃(山梨学院大=決勝で鏡優翔に敗れ、世界選手権出場は鏡とのプレーオフへもつれる)「この大会まで一緒に練習してくれた仲間、先生、コーチ、パートナー…。年齢に関係なく支えてもらっていた。それなのに最後(決勝)で不甲斐ない試合をしてしまって、自分も悔しいけど、それより申し訳なさでいっぱいです。決勝で勝てばオリンピック(予選への挑戦)も決まりという試合で、自分が一番悔しいかなと思ったけど、支えてくださった皆さんに恩返しもできないほど情けない試合をしてしまった。そこがすごく心残りです。

 昨日の試合後の会見で、『明日は勝ちます』と大きなことを言ったのはいいけど、結局一番最後の大事な試合でそれができなかった。鏡選手の方が一枚上手だったんじゃないかと思います。まだプレーオフがある。負けたことをすぐ忘れることはできないけど、気持ちを切り換えて、大学に帰ったら誰よりも練習して、世界選手権の代表になって出たい。いや、出たいではなく、出ます」

© 公益財団法人日本レスリング協会