マイナーな果実だけど…ナツメの美肌効果に注目 福井県立大学教授がアンチエイジングで論文

ナツメの成分で皮膚の老化抑制効果を明らかにした伊藤崇志教授(左)=福井県永平寺町の福井県立大学永平寺キャンパス

 福井県福井市棗地区の特産の果実、ナツメに含まれる成分「ベツリン酸」に、皮膚細胞の老化を抑える効果があることを、福井県立大学生物資源学部の伊藤崇志教授(45)が明らかにした。ナツメを使った美容、健康食品の開発につながる成果といい、国際的な食品化学誌の電子版に論文が掲載された。

 同学部の食品機能科学研究室は、10年以上前から棗地区と共同でナツメの高付加価値化に取り組んでおり、これまでに血糖値の上昇を抑える効果などを確認している。伊藤教授は2017年に加わり、アンチエイジング(老化防止)の効果に着目し研究している。

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 今回の研究では、皮膚表面から表皮、真皮、皮下脂肪の3層のうち、真皮細胞を培養しベツリン酸を加えると、老化した細胞の割合が減ることが分かった。真皮が衰えると、水分を保つコラーゲンやヒアルロン酸をつくる能力が低下し、潤いや張りがなくなるため、真皮の若さが肌の弾力を保つことにつながるという。

 今後は口から摂取した場合の効果を臨床研究などで調べる。伊藤教授は「ナツメを知らない人は多く、福井の特産として認知度が高まってほしい。ベツリン酸は皮に多く含まれるため、食べやすい食品を開発し取り入れてもらいたい」と話し、棗地区の活性化に結びつくことにも期待した。

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