富山県高岡市の工芸、店全体でPR 装飾・食器にこだわり、7月開店

赤色を基調とした紡の店内で会話を楽しむ西島さん(右)と吉田さん=高岡市守山町

 富山県高岡市守山町の1970西繊ビル1階に7月1日、カフェとギャラリーの店「紡 tsumugu(つむぐ)」がオープンする。ビル管理会社が進める再生プロジェクトの一環で、店で使う食器や装飾などにこだわり、ものづくりが盛んな高岡らしさを打ち出した。オーナーの西島美幸さん(60)は「地元作家の作品の素晴らしさを広く知ってもらうとともに、人が集い、交流する場所にしたい」と話す。

 西繊ビルは土蔵造りが並ぶ高岡市山町筋の一角にある。4階建てで、繊維業者の製造・卸売り拠点として1970年に西島さんの祖父が建てた。約15年前に繊維業から撤退し、不動産業にシフト。西島さんはビル所有会社の社長を務める。

 一時は空きビルとなっていたが、現在は事務所やスポーツ教室の会場として活用され、これまでにさまざまなイベントも開催。唯一、空き室となっていた1階の活用に踏み切った。

 外装と内装は高岡御車山(みくるまやま)祭の山車(やま)や山町筋の「赤レンガの銀行」をイメージし、赤色を基調とした。カウンターや入り口の壁には銅器着色技術を応用した建材パネルを用いた。カフェでは、地元の職人が手がけた漆や鍛金の器やガラス作家のグラスでもてなす。ビルの歴史を表現したインスタレーション(空間芸術)も展示した。

 設計した建築家の吉田甫さん(36)=同市=は「高岡やビルの魅力を表現しつつ、地域に開かれた空間になるようにとの思いを込めた」と話す。

 ギャラリーでは、地元を中心に県内外の作家の作品を紹介していく。西島さんは「町に住んでいる人もそうでない人も楽しめる空間になった。テラスもあり、気軽にくつろぎにきてほしい」と笑顔を見せた。

銅器着色技術を応用した建材パネルが目を引く入り口と、開放感のあるテラス席

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