“根拠ある”一打は出ないまま 渋野日向子「膿を出し切って」全米女子OPへ

予選落ちした渋野日向子。スイングの課題と向き合う日々が続く(撮影/中野義昌)

◇海外女子メジャー◇KPMG全米女子プロゴルフ選手権 2日目(23日)◇バルタスロールGC(ニュージャージー州)◇6621yd(パー71)

予選通過は絶望的となっていた後半8番、渋野日向子に「この2週間で一番良かった」という一打が出た。「まあ、それ(チャンスを)外したけど…」と苦笑する結果を抜きにしても喜びの色が薄いのは、「“根拠がある”いいスイングができたとも思えてないから」。テンフィンガーグリップに変更して2試合目、メジャーでの戦いは今季初の米ツアー予選落ちで幕を閉じた。

前日36パットのグリーン上は32パット(撮影/中野義昌)

バーディなしで「78」をたたいた初日に比べ、グリーン上のチャンスは増えた印象。前半14番でロングパットを沈めてバウンスバックするも、続く15番はガードバンカーからうまく寄せた後のパーパットでこらえきれなかった。ロングパットが2mほどショートした16番(パー3)は耐えたが、17番(パー5)は3打目のチャンスメークをバーディにつなげられない。同伴競技者の棄権により、2人で回ることになった前週優勝のレオナ・マグワイア(アイルランド)が「68」で首位に立つ一方、最後まで浮上のきっかけをつかめないままだった。

日本でプレー映像を見ていた青木翔コーチから前日に連絡が入り、“右ひじを高く上げる”というシンプルなポイントを授かった。「自分でもどう伝えていいかわからなかったので、『それだけでもやり切ってこい』と言ってくれて、すごくありがたかった」。感謝しつつ、もどかしさは消えない。「自分の中でグチャグチャになっちゃっているので、それだけはやり切ろうと思って。素振りで(意識して)やってはいるものの、なかなか難しいなあ…」

シンプルに“右ひじを高く”とポイントを絞ったが…(撮影/中野義昌)

ラウンド前後の練習場でも、納得のいくスイングができる瞬間が「ほぼないです、いまは」。理想とするイメージを固めきれず、自分の身体もクラブも、思うようにコントロールできないジレンマが続く。「考えるとリズムも悪くなって、負の連鎖が起きちゃうのは分かっているんですけど…」。それでも、喫緊の課題から目を背けるわけにはいかない。

次戦「全米女子オープン」へ(撮影/中野義昌)

西海岸へ移動し、1週のオープンウィークを挟んで次戦もメジャーの「全米女子オープン」(カリフォルニア州ペブルビーチGL)に臨む。「やりがいあるメジャーセッティングのコースで“膿”が出てしまったというか、全て出し切った感じ。結構しんどいなとは思いますけど、こういう時期も必要かなと。ちゃんと受け入れて、前に進むしかない」。2週後もきっとタフなコースと対峙(たいじ)する前に、もう少し自分自身と向き合う。(ニュージャージー州スプリングフィールド/亀山泰宏)

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