産業革新投資機構が1兆円買収へ JSR、半導体供給網を強化

 官民ファンドの産業革新投資機構が、半導体材料大手のJSRを約1兆円で買収する方針であることが24日、分かった。JSRは半導体の製造に欠かせない「フォトレジスト」と呼ばれる材料に強みを持つ。成長に向けた投資資金を確保しやすい環境を支援し、経済安全保障上の戦略物資である半導体の供給網を強化する狙いがある。

 週明けにも公表する見通し。関係者によると、JSRを買収するための新会社を設立し、革新機構が5千億円出資する。新会社にはみずほ銀行が4千億円を融資するほか、他の金融機関も1千億円を引き受け、計1兆円規模を準備する。

 新会社が株式公開買い付け(TOB)を実施し、成立すれば東証プライム市場のJSRは上場廃止となる見通しだ。

 フォトレジストは半導体の回路形成に用いられ、JSRは世界シェアが高い。近年は、フォトレジストの開発製造を手がける米企業を買収する一方で、祖業の合成ゴム事業を売却するなど事業の見直しを進め、半導体材料に注力する姿勢を示している。

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