職員に「子育て時間」を…勤務時間を1日最大2時間短縮、小学校卒業までに対象拡大 秩父市、7月から導入

7月から「子育て時間」の導入が始まる秩父市役所=23日、埼玉県秩父市熊木町

 埼玉県秩父市は、小学生の子どもを持つ職員に最大2時間の休息を与える「子育て時間」の制度を7月から導入する。地方公務員が継続就業しながら子育ての時間を確保できる措置は、「小学校入学まで」が対象だったが、「小学校卒業まで」に広げ、職員の離職防止などを図る。県内自治体では未導入とされる子育て支援策で、今後、待機児童解消につながる取り組みとして、各自治体や企業での普及が見込まれる。

 現行の育児休業法は、3歳まで「育児休業」、3歳から小学校入学までは1日の勤務時間を省略できる「部分休業」により休暇を取れる。今回、市が導入する「子育て時間」は、部分休業と同様の仕組みで、小学校児童を持つ職員が勤務時間(通常午前8時半~午後5時15分)の始業か終業を30分単位で、1日最大2時間短縮できる。始業や終業に関係ない昼間は該当しない。

 短縮された勤務時間は無給扱いになるが、市人事課職員は「朝の出勤を遅らせたり、午後の早い時間に帰宅でき、仕事と子育ての両立の幅が広げられる」と説明する。児童の朝の送り出しや、学童保育のお迎えなどに時間の余裕が持てるため、主に市外から時間をかけて通勤している職員の利用を多く見込む。

 市によると、23日現在の市職員は707人で、都内や所沢、飯能市など、市外から通勤している職員は約2割。「子どもより早い時間に家を出ないと、勤務時間に間に合わない職員もいる。子どもが家の鍵を持参している『鍵っ子』の抑制につなげられれば」と同課は期待する。

 今回の「子育て時間」対象者(児童を持つ職員)は市職員全体の約2割。23日の定例記者会見で北堀篤市長は「最近、若手職員の離職が気になっていた。今回の取り組みで、親と子のふれあい時間を少しでも提供し、子育て世代が働きやすい環境を作っていく」と話した。

 子育て時間は市議会6月定例会で条例改正案が可決し、導入が決まった。

© 株式会社埼玉新聞社