【単独取材】橋本淳×稲葉友 小学生時代の橋本は2.2軍で稲葉友は1軍だった!?

全国順次公開中の映画『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』。W主演を務めた橋本淳と稲葉友にentax取材班が独自インタビューを敢行した。家に引きこもっている“ちばしん”の元に小学生時代の親友“ながちん”が突然会いに来て、「俺の死体を探して欲しい」と依頼することで始まる不思議な青春ロードムービー。橋本淳が30歳過ぎてもゲーム三昧の青年・ちばしんを、稲葉友がハイテンションな自称幽霊・ながちんを演じた。

(前編・後編の後編/前編はこちらから)

■橋本淳は2.2軍、稲葉友は“絵に描いたような”小学生時代

――ちばしんとながちんは小学校時代の親友でしたが、お2人はどんなお子さん時代を過ごしていましたか?

橋本 クラスでよく1軍とか2軍とかヒエラルキーがあるじゃないですか。僕は大体2.2軍みたいなところにいて、1軍に憧れているけれども「あのグループは怖いから入りたくないな、でも羨ましいな。僕はこの場所かな」と眺めているような子でした。いじめられたこともありましたので、(過去を思い出したくない)ちばしんの気持ちもわかるというか、ちょっとフタをしたくなる思い出もあります。

小学生とか中学生の頃って小さいコミュニティーの中のみで生きているから、その9年間くらいは、地元のコミュニティーの中で過ごす息苦しさみたいなものはどこかしらありました。社会人になったらもう少し開けた人間関係があるし、今思うと大したことではないんですけどね。その時はいっぱい傷ついたし、もしかしたら無意識に誰かを傷つけたかもしれないし……。だから、普通に友達と楽しめていない部分があったかな。どこか達観して客観的に見ていたのかな。そんなに暗かったわけじゃないんですけど。

だから、映画では描かれていないけど、ちばしんとながちんが本当はそこまで親友じゃなかったかもしれないという想像もするんです。ちばしんは親友だと思ってるけど、それをながちんに言えなかったかもしれない。そういう意味で、ちばしんと僕はうっすら近いものがあると感じました。友君は1軍でしょ?

稲葉 当時は1軍とか2軍っていう意識がなかったし、あんまり考えたことなかったかな。少年野球をやっていたし、活発な方だったと思います。あと、3人兄弟の末っ子なので生きやすい環境が整っていたんですよね。先輩で怖い人がいても兄の同級生だったりして「あ、あいつの弟だな」という感じでトラブルにも巻き込まれなかったし。普通に友達の家に遊びに行って、毎週末野球の練習をしているような子でしたね。雨が降ると「野球が休みだ」ってちょっとうれしがるような子。家族で海や山に行くなどアクティブな遊びもしていましたし、絵に描いたような家庭の子というか……。伸び伸びと幸せに暮らしていた気がします。

(左から)稲葉友さん、橋本淳さん

■ポケモンカードやミニ四駆が捨てられない橋本淳。稲葉友は木刀を手づくり!

――映画冒頭で、ながちんがちばしんに、小学生の頃から借りっぱなしだったファミコンのカセットを返しに来るシーンがありますが、小学生当時から今も持っているものはありますか?

橋本 映画の回想シーンにも出てくるハイパーヨーヨーは実家に絶対あると思います。

稲葉 名前を忘れたんだけど、金属のリングに小さい指輪みたいなものがいっぱいついてるやつ……アメリカで流行っていたおもちゃです。地元が相模原で米軍基地が近かったので、アメリカのおもちゃやカルチャーが流れてきやすかったんですよね。あとはスケボーやBB弾が入ってる銃とか。“BB弾銃”や水鉄砲も、アメリカのものは超強力なの。大事に取ってあるかは謎ですが……。

橋本 僕はけっこうあるかも。ポケモンカードとかミニ四駆とか捨てられないものがいっぱいありますね。

稲葉 小学校5年生くらいの時にハマっていた『シャーマンキング』という漫画があって、その中に木刀を使うキャラ(木刀の竜)がいたんです。漫画抜きにしても小学生の頃って木刀をかっこいいと思うじゃない。だから大きいサイズは無理でも、小さい木刀をつくろうと思って、休み時間に友達と木を削ってニスを塗って、手元に何か巻いてつくったのがずっと捨てられなくて取ってあります。

橋本 それ、まだあるかな?

稲葉 まだあると思うんだけど、親戚の子どもに欲しいって言われてあげちゃった気もする。でも、実家にいた当時は自分の机の引き出しを開けたらその木刀が入っていた記憶は鮮明にあります。

橋本 そういえば友達に借りたのか忘れていったのかわからないけど、僕のものじゃないゲームがずっと実家にあります。『ジョジョの奇妙な冒険』のスーパーファミコンのソフト。僕はジョジョをよく知らないから買うわけがないんだよね。でも箱ごときれいな状態であるんです。

小学校時代の思い出を振り返る橋本淳さん

■クラウドファンディングで目標額を達成して映画が公開に

――映画は今回クラウドファンディングを経ての公開となりました。公開が決まった時はどんなお気持ちでしたか?

橋本 目標金額を大きく超えられたのでありがたいですね。映画の完成はしていたものの、より多くの地域の方に観ていただくために、いろんな方が出資していただいたおかげで、いろんな劇場で上映してもらえることが決まったので、その経緯も含めてこの映画っぽいな、という感じがします。ちょっと変わった映画だけどこの映画を多くの人に観てもらいたいなと思ってくださった賛同者があんなにいらっしゃるというのは本当に温かくてうれしかったですね。

映画を観るためにお金を払うのではなく、応援したいという気持ちにお金を出してくださるというのはありがたいです。だから、その力をちょっとでも多くの方にこの作品を届けるために使わせていただいて、広がればいいかなと思っています。

稲葉 まったくその通りです! タイトなスケジュールと限られた人数でつくった作品だからこそマンパワーを感じられる作品になり、クラウドファンディングという形で応援してくれる方がいて、それを受け取る方がいて、さらに広めてくださる方がいて、という人と人とのつながりが、すごく大事なことだなと。クラウドファンディングに参加してくれた方には特典だけではない、何か気持ちの面で豊かになることがあればいいなと思っています。

インタビュー中の稲葉友さん

■「ちょっと変だしジャンルに縛られない、でもほっこりするような映画」(橋本)

――最後に、これから映画を観る方にメッセージをお願いします。

橋本 きっと世の中には、僕みたいに学生時代に輝かしい記憶や記録が残っていない人の方が多いんじゃないかなと思うんですね。でも、たとえ自分の中でフタをしてみたい記憶でも、第三者から「あなたがいたから楽しい学生生活が送れたよ」と言われるかもしれない。グレーになっていた記憶は他の人からしたら素敵な記憶だという可能性もあるので、そういうことを思い返させてくれるような映画なのかな、と思います。再生させてもらえるというか、怖いけどフタを開けてみたら、今の自分に返ってくる豊かな心や記憶がもう1回芽吹いて彩り豊かになるんじゃないかと思わせてくれるような、心温まる優しい映画。
ちょっと変だしジャンルに縛られない、でもほっこりするような映画なんですけど、観終わった後は誰かに会いたくなったり連絡したくなる。こんな大変な世の中だけど、人と人には温かいつながりがあるんだよ、というのを思い出させてくれるような映画になっているので、映画館で全然関わりのない他人と一緒に同じスクリーンでこういう映画を観るのもいい体験なんじゃないかと。ぜひ劇場に来ていただけたらうれしいです。よろしくお願いします。

稲葉 今度から先にしゃべろうかな……全部言ってくれるから(笑)。
そうですね、僕は、エンタメを楽しめる体調みたいなものってあると思うんですね。こういう気分の時はこういう作品が観たい、こういう気分ならこの作品は観られない、とか。でも『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』は、どの体調でもどの年代でもすっと染み込んでくるような優しい映画だと思っています。なので、「今日は何を観ようかな」という時に選んでもらえたらうれしいです。ぜひ映画館まで来ていただけたら!

【橋本淳(はしもと あつし)Profile】
1987年1月14日生まれ、東京都出身。
2004年にドラマ『WATER BOYS2』(フジテレビ)でデビュー。
2008年、NHK連続テレビ小説『ちりとてちん』でヒロインの弟・正平役を務める。 近年の出演作は、NHK『きれいのくに』(2021年)、TBS『#家族募集します』(2021年)、東海テレビ・フジテレビ『三千円の使いかた』(2023年)、日本テレビ『それってパクリじゃないですか?』(2023年)など。演劇界でも活躍し、舞台『いつぞやは』(2023年8月〜)の公演を控える。

【稲葉友(いなば ゆう)Profile】
1993年1月12日生まれ、神奈川県出身。
2010年、ドラマ『クローン ベイビー』(TBS)にて俳優デビュー後、数々のドラマ、映画、舞台に出演。
近年の主な出演作に、映画『ずっと独身でいるつもり?』(2021年)、『恋い焦れ歌え』(2022年)、ドラマではテレビ東京『みなと商事コインランドリー』、NHK『つまらない住宅地のすべての家』(2022年)、日本テレビ『大病院占拠』(2023年)などがある。MBS/TBSにて放送中のドラマイズム「明日、私は誰かのカノジョ Season2」に出演中のほか、7月25日22:00~放送スタートのNHKドラマ10「しずかちゃんとパパ」に出演。 毎週金曜11:30~生放送中のJ-WAVE『ALL GOOD FRIDAY』にてナビゲーターを務める。

『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』
6⽉16⽇(⾦)〜 CINE QUINTO(東京・渋⾕)にて1週間限定レイトショー 6⽉23⽇(⾦)〜 アップリンク吉祥寺、kino cinéma⽴川⾼島屋S.C館ほか全国順次公開

<STORY> 30歳を過ぎて家に引きこもり、ゲームばかりやっている青年・ちばしん(橋本淳)。ある日突然、小学校時代の親友・ながちん(稲葉友)が目の前に現れ、自分は幽霊だと言う。ちばしんは理由もわからず彼の思い出の地をたどることになり、戸惑いながらも車を走らせるが……。

<CAST>
橋本淳 稲葉友 安倍⼄ 森⾼愛 マメ⼭⽥ ⼊江雅⼈ 千葉雅⼦ 中村まこと 市川しんぺー ⼋⽊響⽣ 飴

<STAFF>
監督・脚本:猪股和磨 ⾳楽:KiQ|エグゼクティブ・プロデューサー:⽵内崇剛|プロデューサー・編集:篠⽥知典|撮影:平井諒|照明:富⾕颯輝|サウンドエディター:⼩濱匠|スタイリスト:庄司洋介|ヘアメイク:⼭⽥亜美|部屋装飾:藤本楓|助監督:志筑司|制作担当:井⼝慶|スチール:岩渕一輝、中野あき|題字・宣伝美術:橋本興平|企画協力:直井卓俊|宣伝協力:髭野純|製作:「よっす、おまたせ、じゃあまたね。」製作委員会|配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS

映画公式サイトはこちら

© 株式会社 日テレ アックスオン