<金口木舌>大切な「宝物」を未来まで

 南風原町指定史跡の井戸「御宿井(ウスクガー)」から、18世紀ごろに造られたとみられる石畳などが見つかった。地域住民が何百年も、祈りの場を大切に守ってきたことがうかがえる

▼史跡にとどまらず地域の人々が守りたいと願う場所は多い。学校の校舎などは廃校後もさまざまな形で利用される。単なる「施設」という存在ではなく、地域活性化に不可欠な「宝物」となっている

▼NPO法人珊瑚舎スコーレの児童生徒は、築100年といわれる古民家の修繕に挑戦する。学びの場所として使われていたが、梁(はり)にひびが入っているのが見つかった

▼子どもたちは古民家を「みんなの気持ちがいっぱい詰まった場所」と考え、壊さずに残して後世につなげることを願っている。ただの学習施設を超えた、かけがえのない存在になっている

▼時代の流れの中で古いものはなくなり、新しく生まれ変わっていく。仕方ないと思う半面、大切な存在まで失ってはいけないと思ったりもする。身近にある「宝物」に目を向けて、未来に残すことも時には必要だ。

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