平敷屋エイサー 東西統合 共につなぐ 伝統の舞 今年度 担い手確保へ、技を共有

 【うるま】一つの集落に二つの青年会があり、東西に分かれて異なる踊りと音楽で競い合ってきた平敷屋エイサーは2023年度、東西を統合することを決定した。平敷屋エイサーは県内最古とも言われるほど長い伝統がある。形を変えることへのためらいもあるが、メンバーらの伝統継承への思いは熱い。

 平敷屋エイサーは念仏踊りが起源で足の運びや腰の落とし、黒と白の装束などが特徴だ。1999年にはうるま市無形民俗文化財に指定された。東は力強い男踊り、西はしなやかで女性的な動きが特色で、互いに競い合いながら技を磨いてきた。

 青年会には9年前、東西それぞれ60人ずつで合計120人がいたが、メンバーの減少を理由に22年度に初めて統合し、23年度も引き続き統合を決めた。現在は東西合わせても47人と減っている。

 前代賢太会長(25)は「つなぐことが大事」との思いで決断に至った。それでも「さみしい気持ちはある。東西の競い合いは頑張る意欲だった」と話す。

 友人同士でも「エイサーになると別。バチバチだった」とそれぞれのプライドがぶつかり合ったという。練習場所も互いに近く、時折声も聞こえてくる。「向こうの声が聞こえたら『こっちも頑張ろう』となった」。互いに負けられない存在だった。

 統合が決まって「踊りたくない」と話すメンバーもおり、説得しながらのスタートとなった。昨年度は西の曲で統一したが、今年度は東西どちらも踊ることにした。「踊り分けが難しい。癖がなかなか抜けない」と練習量は2倍だ。「東はもっと手を伸ばして」「西の足踏みはこうだ」と、それぞれ蓄えてきた知識を共有する。

 前代会長は「平敷屋青年会は最年長に当たる25歳が一番下。準備や片付けもやる」と独特の慣習を紹介した。伝統の継承を担う者として、引き継いでくれる後輩へ感謝を伝えるのだという。

 今後は毎年の代替わりのタイミングで、統合するか東西を分けるかを判断していく。形を変えながらもメンバーは伝統の継承者として、技を磨き続ける。 (金盛文香)

 

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