大玉サクランボ 「映え」で火花

「やまがた紅王」を使ったパフェ(東京・銀座で)

大玉で「映える」新世代サクランボのPR競争が本格化している。今年本格デビューした「やまがた紅王」は、主産地をけん引する新品種として、卸売市場から若者向けまで、幅広いPRを通じ知名度向上を目指す。青森県の「ジュノハート」は、宝石箱のような荷姿で販売するなど、果実の消費拡大へ新たな客層の掘り起こしを狙う。

高級パフェが好調 やまがた紅王

「やまがた紅王」は、500円玉ほどの3、4L級の大玉が多く、良食味で日持ちも良いのが特徴。今年は約20トンが流通する予定だ。山形県園芸大国推進課は「生産者の所得向上とともに、県のブランドを上げてくれる存在になれば」と期待を寄せる。一方、流通関係者は「消費地で『やまがた紅王』の知名度はこれから。どれだけ上げられるかが消費拡大の鍵」とみる。

本格デビューの今年、県やJAでは東京・大阪の卸売市場や県内外の消費者向けなどPR活動を展開している。特徴的なのは大玉ならではの「映え」を意識した販売策だ。

東京・銀座に本店を構える資生堂パーラーでは、「やまがた紅王」を6粒使ったパフェを7月初めまで数量限定で提供する。同店の「佐藤錦」を使ったパフェのほぼ2倍の1個6000円で販売するが、同店によると「1日15~20食が売れて出足は好調」という。

県は都内で運行するアフタヌーンティーを楽しめるバスとも連携。サクランボをパフェなどで提供する。交流サイト(SNS)での拡散を見込んでおり県は「若い世代の認知度を上げていきたい」(農政企画課)。

荷姿まるで宝石箱 青森「ジュノハート」

2粒入りの「青森ハートビート」の化粧箱(青森県提供)

大粒でハート形の実を生かした「映え」の販促策を加速させるのは青森「ジュノハート」だ。全国デビュー4年目を迎える今年は約11トンの流通を見込む。

上位ブランドの「青森ハートビート」は、宝石箱のようなおしゃれな箱に入れ、百貨店などで販売。1箱2粒入りで1080円で、ちょっとした贈り物や自分へのご褒美などに好評だという。今年からはブライダルシーンでの活用を提案。女性や若い世代への浸透も目指す。 音道洋範、木村泰之

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