「今日は5点!」 松山英樹は5アンダーにも辛口の自己評価続く

連日の好スコアで順位を上げた松山英樹(撮影/服部謙二郎)

◇米国男子◇トラベラーズ選手権 3日目(24日)◇TPCリバーハイランド(コネチカット州)◇6852yd(パー70)

朝から雨が降りしきる中で、スタート前の松山英樹はずぶ濡れになりながらボールを打っていた。雨などおかまいなしに、早藤将太キャディに撮ってもらったスイング動画を確認し、体の動きをチェック。スタートギリギリまで自身のスイングと向き合っていた。

昨日は「64」というビッグスコアを出しながら「ゼロ点」と自己評価。果たして、今日は満足のいくものが見つかるのだろうか。スタートの頃には雨はやんで日が差し始め、松山はレインウェアを脱いだ。

8打差を追う松山は、2日目と同じく1番、2番と立て続けにバーディを奪い、幸先のよい立ち上がりを見せる。課題としていたアイアンの距離感はぴったりで、ともに2打目を3m前後につけた。

1番でおはようバーディ(撮影/服部謙二郎)

さらに7番では、フェアウェイから残り147ydの2打目がカップに入る“ショットイン”イーグルでギャラリーを沸かせた。ピッチングウェッジで打ったボールは、ワンバウンドしてからカップに吸い込まれた。それでも松山からは「狙い通りという感じではなかったですね。打ったら入っちゃったみたいな感じ」と、相変わらず満足の声は聞こえてこない。

よい流れは後半も続き、10番、11番(パー3)と連続でスコアを伸ばす。10番は10m弱、11番は4.5mを沈めてのバーディ。「久々にああいう距離が連続で入った。思い通り打って、気持ちよくストロークして、芯を打ち抜いて入ったのは久しぶりだった」と手ごたえを口にした。その後、アプローチを寄せてバーディ奪った13番(パー5)まではまさに完璧なゴルフ。松山はスコアボードを駆け上がり、トップを走るキーガン・ブラッドリーの背中が見え始めていた。

11番でバーディパットを決める(撮影/服部謙二郎)

しかし、14番のパーパットを外してから流れが悪くなり、続く距離の短い15番では1オンに成功したものの3パット。「15番のバーディパットからおかしくなってしまった」と終盤はボールがカップを逸れ続け、16、17、18番と入れごろのバーディパットを外してしまう。終わってみれば、2日目の「64」に1打届かない5アンダーどまりで、通算12アンダーの15位タイ。首位から9打差で最終日を迎える。

アイアンはピンに絡み続け、課題としていた距離感も克服できていたように見えた。「風があったのでそこは何とも言えないけど、昨日よりは少しよくなったかなというレベル」と、自身の中でも完璧とまでは言えないまでも前進はしている模様。「スイング自体は少しつかんだものがあり、今までやったことと『+α』でやれればなと思ってやりました。でもコントロールはまだできてないですね」ときっかけの糸口は見えてきたか。

15番はティショットで1オンに成功(撮影/服部謙二郎)

アイアンショットの指標となるストローク・ゲインド・アプローチトゥグリーン(グリーンを狙うショットの貢献度)のスタッツを見ると、5.796とかなり高い数字で、3日間を終えた時点でのフィールド2位。つまり、アイアンでスコアを稼いでいるということだ。

実は、先週の「全米オープン」土曜日から松山はアイアンを替えている。メジャーの最中に人知れず、いきなりだ。急遽スタッフに頼み、同じモデルのオフセット具合とヘッドのすわりを調整したアイアンを新調。距離感を戻すためにあらゆる手を尽くしている。スイングだけではなく、ギアも含めた細かい陰の努力が積み重なって、結果として現れているのだ。

シェーン・ローリーと和気あいあいのラウンド(撮影/服部謙二郎)

最後に今日のプレーを点数で聞いてみたところ、「うーん」と少し考えたあげく「5点!」と返してきた松山。その配分はおそらく、アイアンのよくなってきた部分が「3点」、10番からの2連続バーディで気持ちよく入れたパットが「2点」ではないかと推測する。

2日目よりはスコアを伸ばせてはいないが、本人の中ではある程度、手応えのあるラウンドだったのだろう。松山は「明日はしっかり伸ばして終われるように頑張りたいです」と言い残し、車に乗り込んだ。(コネチカット州ハートフォード/服部謙二郎)

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