奥平大兼、映画「君は放課後インソムニア」で訪れた石川県七尾市のとりこに。「すごく人の温かさを感じた」【インタビュー後編】

6月23日に公開された映画「君は放課後インソムニア」。森七菜さん、奥平大兼さんのダブル主演で描く、眠れない高校生を満天の星が優しく包む青春物語だ。

物語では、不眠症という共通の悩みを持つ、森さん演じる曲伊咲と奥平さん扮(ふん)する中見丸太(がんた)が、休部中の天文部を復活させるため、周りの人たちの温かいサポートを受けながら一歩ずつ歩みを進め、次第に絆を深めていく。原作の舞台でもある石川県七尾市を中心に撮影が行われ、美しい山や海の景色、自然豊かな街並みの中、細かく揺れ動く心情を丁寧に紡いでいる。

昨日6月24日に公開したインタビュー前半(https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-2279864/)では、お気に入りのシーンなどを語ってくれた奥平さん。後半の今回は、作品の舞台である石川県七尾市の魅力を中心にたっぷりと語ってもらった。

――映画を拝見したのですが、大きいスクリーンで見たらより街並みや夜の景色が奇麗に見えるのだろうなと感じました。

「劇中で何度か海が出てくるんですけど、全部見え方が違うんですよね。それって、七尾市のロケーションの力でもあるし、撮影してくれたスタッフさんの力でもあって。決してセリフがあったり画が動いているわけではないんだけど、海の見え方によって伝わってくるものがあるというか…そういうのは本当に大きなスクリーンで見てもらった方が、より伝わると思っているし、映画館でしか味わえないかもしれないですね」

――七尾市の街並み、本当に奇麗でしたね。

「すごくよかったです! もう一度行ってみたいと思って、(七尾市に)行こうか計画を立てているんです! でも、ちょっと遠くて…(笑)」

――(笑)。

「本当にすごくいいところなんです! ただ、新幹線を降りた後、車で1時間ぐらいかかるところにあるんです。車がないとキツいので、免許を取ったら行こうって決めていて。最近、映画関連の宣伝をたくさんやらせてもらっているんですけど、その中で撮影のことを思い出して、すごく行きたくなったんです。頑張って免許取って、今年中に行けたらいいかなあと思っています」

――実際、七尾市で撮影して、どんな魅力がありましたか。

「やっぱり(町の人たちが)優しくて、すごく人の温かさを感じました。そこで出会う人は初めましてなはずなのに、自分たちの撮影に協力してくれて、おいしいご飯も食べさせてくれて。すごく心がほっこりしたんです。そういうのは東京にいたままだと感じられなかったと思うから、よかったなって、すてきな場所だったなって思いました。だからこそ、もう1回行きたいというか。人の温かさに触れるのってすごくいいことだなって感じました」

――ちょっとリフレッシュにもなりそうですか…?

「そうですね。仕事のこととか一切関係なしで、シンプルに観光客として行きたいです!」

――劇中には「写真はときめきでシャッターを押すんだよ」というセリフが出てきますが、最近ときめいてシャッターを押したものがあれば教えてください。

「うわ~! なんかあるかなあ…(笑)。基本、携帯で写真を撮らないので、持っているカメラで撮ったやつでもいいですか? この作品の撮影後に、別の作品の撮影が地方であったんですけど、星が奇麗だったんですよ。その時、『そういえば、星の撮り方知ってるじゃん!』と思って、撮ってみたくなってシャッター押したんです。カメラの設定上、すごい写真は撮れなかったんですけど、自分の目では見えないぐらいの星が撮れました。この映画の撮影で教えてもらったことを意外と覚えていたし、自分が丸太として生きていたからこそできることだったので、ちょっとうれしかったです」

――「君ソム」(「君は放課後インソムニア」)の撮影を思い出して、わくわくしてシャッターを切ったんですね。

「やってたなこれ!みたいな(笑)。そんな感じでしたね。元々カメラは持っていたんですけど、使い方が難しくて…」

――分かります…。

「設定、何これ!?みたいな(笑)。絞りやF値をどうしたらいいのか分かんなかったので、全部オートにして撮りたいやつを撮っていたんですけど、『君ソム』で詳しい設定まで勉強できたので撮影が楽しかったです。状況を見て、『あ、これだったら設定これぐらいかな』って分かった上で撮れると楽しいし、逆に『こういうとこだけど、こういうふうに撮りたいからちょっと変えて…』みたいなのができたりするので、勉強してよかったなと思いました」

――これからカメラで撮影するのがもっと楽しくなりそうですね。

「そうですね。本当、この作品きっかけでカメラのことめちゃくちゃ知れました。実は、フィルムカメラも買って撮っているんです。フィルムカメラは全部自分でやらなきゃいけないので難しいんですけど、そういうのも楽しくて。なんか楽しみが一つ増えた感じがします」

――プライベートで七尾市に遊びに行ったら、いろんな景色が撮れそうですね。

「それこそ、この撮影の時にスタッフさんが使い捨てカメラを用意してくれて。『これでみんなを撮ってください!』って言われたんですけど、僕はほかのキャストの子は撮らずに風景を撮っていたんですよ(笑)。すごくもったいなかったなって…!」

――それはそれで味があって…。

「いいのかもしれないけど(笑)。せっかくなら、ほかのキャストの子たちを撮っておけばよかったなって、ちょっと後悔しています…」

――もし、また皆さんと一緒になる機会があったら…。

「もし、またみんなに会えたら、みんなのことたくさん撮りたいですね。そして、いつか七尾市に遊びに行けたら、いろんな写真を撮って見たいなって思います」

【取材秘話】

インタビュー後、ポラロイド写真にサインをお願いすると、ピンクのペンを手にした奥平さん。「ピンクがお好きなんですか?」と伺うと、「ピンク、好きなんですよ」とにっこり。すると、この話を聞いていたスタッフが「この間の完成披露上映会の衣装はオレンジだったけど、次はピンクにするか~」とぽつり。「ピンク着たいけど、どうかなあ(着れるかな)」とうれしそうな表情を浮かべていた奥平さんでした。

【プロフィール】

奥平大兼(おくだいら だいけん)
2003年9月20日生まれ。東京都出身。20年に公開した映画「MOTHER マザー」で俳優としてのキャリアをスタートさせた後、同年放送のドラマ「恋する母たち」(TBS系)で連続ドラマデビューを果たす。その後、ドラマ「レンアイ漫画家」(フジテレビ系)、「ネメシス」(日本テレビ系)、「早朝始発の殺風景」(WOWOW)、映画「ネメシス 黄金螺旋の謎」「ヴィレッジ」などに出演。今後、7月15日(土)よりスタートのドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系)に出演するほか、23年冬にDisney+で「ワンダーハッチ ‐空飛ぶ竜の島‐」の配信が控えている。

【作品情報】

映画「君は放課後インソムニア」
6月23日より全国にて公開中

取材・文/Y・O(フジテレビ担当)

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