日本図書館協会建築賞を受賞 板橋区 建物もサービスも中央図書館の魅力

リニューアルによって利用者が2倍以上に増えている図書館が板橋区にあります。板橋区立中央図書館は一昨年の3月にリニューアルし、このたびすぐれた図書館建築に贈られる「日本図書館協会建築賞」を受賞しました。建築の質の高さだけでなくサービスも審査の対象となる賞を受賞した中央図書館の魅力に、読書好きなキャスター、田中が迫ります。

田中:「板橋区内の公園にやってきました。緑も多く池もあって気持ちがいい公園なんですが、その先に見えたあの建物ですね」

建物の老朽化などを理由に、一昨年、以前の場所から移転した中央図書館は、区内の公園の一角に、規模を拡大して新たに建築されました。松崎館長は、家族連れなど公園に遊びに来た人たちが気軽に立ち寄りやすく、区民にも好評だといいます。

松崎館長:「全面ガラス張りで、皆さん遊んでいる姿を見ながら本を読んだりとか、中に入っている姿を見ながら外でゆっくりくつろいだりというのができるようになっている」

外観のアクセントにもなっているこの「水平ルーバー」は、館内から公園の緑が見えますが、直射日光は遮るよう設計され、公園と施設の一体感を高めるデザインとなっています。中に入ってみると…

田中:「入り口から吹き抜けになっているんですね。図書館って閉鎖的だったり暗いイメージがありますが、かなり開放的ですね」

家族連れの利用が多い1階は、ベビーカー置き場などがわかりやすく表示されています。この1階で特に親子に人気なのが、約3万冊におよぶ世界中の絵本と触れ合えるコーナーです。

館長&田中:「本にそれぞれの国旗をつけていて、子どもたちが棚に戻す時もわかるようにひとつひとつ手作業でつけてあります。文化の勉強にもなりますし、言語の勉強にもなりますし、国旗も勉強できたり子どもたちが自然に学ぶことがたくさんありますね」

朗読イベントなどにも使われる防音の部屋では、お母さんが子どもに読み聞かせをしていました。

利用者:「最近暑いので、散歩も外でできないので避暑地代わりに。(館内に)授乳室とかオムツ替え台とかもあって、何があっても大丈夫かなって安心感があって使ってる」

様々な気配りや工夫がなされるこの図書館のもう1つの特徴が、階によって静けさを分ける「音のゾーニング」です。

2階にはグループでの会話もできる「ティーンズルーム」など、学生向けのコーナーを多く設置。この2階を超えて3階まで上がると、1階の明るくにぎやかな印象から雰囲気がガラリと変わります。

館長&田中:「階層をあげることで少し静かな空間を作りたくて、3階は大人の書斎のような雰囲気にしたいと、落ち着いた色合いでフロアを整えている。棚の色も全然違いますし、照明の感じもちょっと大人な感じですね」

「本離れ」と言われる昨今ですが、この中央図書館では、様々な世代が過ごしやすい空間づくりが評判となり、年間の図書館の利用者は改築前の35万人から80万人と、倍以上に増えています。

田中:「取材をしてみると、こうしたテラス席があったり子どものための読み聞かせのコーナーがあったり、色々な年代の人の居場所になる工夫がされているなと感じました。本好きとしては本当に近くに住みたいなと思いました。今回の取材で図書館の役割について、「活字に親しむ文化施設」「異文化の接点」「放課後の居場所」「猛暑の中の避暑地」と、地域住民にとって様々な役割を果たす大切な施設ということを改めて感じました」

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