不安定な天候で荒れに荒れたレース1。前田恵助が3位表彰台/2023FIMアジアロード第3戦 日本ラウンド 土曜日

 宮城県・スポーツランドSUGOで行われている2023FIMアジアロードレース選手権(ARRC)シリーズ第3戦日本ラウンド。昨年に続き、今年は2年目の開催となる。

 6月24日(土)は、各クラスの公式予選とレース1が、それぞれ行われたが、SS600クラスのスタート前に雨が降り出し、ウエットコンディションになる。その後に行われたASB1000クラスがスタートするころには雨は止むが路面はウエット。難しいコンディションでのレースとなった。

 公式予選でポールポジションを獲得したのは、第2戦を終えた時点でポイントリーダーにつけていた埜口遥希。タイムは1分27秒610。昨年のSUGOラウンドでは、ダブルウインを飾っており、今回もその再現を狙っていた。

 2番手にBMWを駆るマーカス・ライターベルガーが1分27秒780で続いた。ライターベルガーは、EWCスパ24時間で4位で終え、すぐに来日。金曜日に初めてSUGOを走ったが、初日にいきなり1分27秒884までタイムを縮め、トップタイムにつけていた。第2戦マレーシアではダブルウインを飾っており、埜口にとっては、最大のライバルとなる。3番手にワイルドカード参戦の國峰啄磨が1分27秒972で続き、トップ3が1分27秒台をマークしていた。

ASB1000 レース1:前田恵助(Team GYTR)/2023FIMアジアロード第3戦日本ラウンド

 レース1は、前述の通り難しいコンディションとなり、ひとりのライダーを除き多くのライダーがレインタイヤをチョイスしてスタートした。國峰が好スタートを切り、トップに浮上するとレースをリード。これに同じくワイルドカード参戦の荒川晃大が続き、3番手にライターベルガー、4番手にアズラン・シャー・カマルザマンとBMW勢が続いていた。ポールポジションスタートの埜口はスタートで出遅れ、馬の背コーナーでは接触があり、オープニングラップは9番手とポジションを下げていた。

 路面は乾く一方となっており、レインタイヤは、その機能を発揮できない状況となっていく。まずは2番手を走っていた荒川がペースダウン。國峰もタイヤがすぐに空転してしまうためトラクションコントロールが効いてしまい、アクセルを開けても進まない状態になると11周目にカスマ・ダニエル・カスマユディンにかわされトップを陥落。

ASB1000 レース1:カスマ・ダニエル・カスマユディン(YAMAHA GEN BLU Racing Team ASEAN)/2023FIMアジアロード第3戦日本ラウンド

 カスマは、ぶっつけで変更したセットがうまくはまり、そのまま独走。今シーズン初優勝を飾った。2位にライターベルガーが入り、スリックタイヤをチョイスした前田恵助が最終ラップにごぼう抜きを見せ3位表彰台に上がった。

「サイティングラップでレインタイヤを履いて出て行きましたがマシンセットも決まっていませんでしたし、グリッドで一か八かでスリックタイヤでいくことを決めました」と前田。

「ただ、スタートする予想以上に濡れていたので、恐る恐る走っていました。S字コーナー辺りは、なかなか乾かず、慎重にいっていたのですが、残り2周で急に乾きペースを上げていくことができました。もう1周あればと悔しい思いが勝りましたが、表彰台に上がることができて、皆さんによろこんでもらえたので、よかったです」

ASB1000 レース1:優勝したYAMAHA GEN BLU Racing Team ASEAN/2023FIMアジアロード第3戦日本ラウンド

 4位にアンディ・ファリド・イズディハール、5位にケミン・クボの代役参戦の伊藤勇輝、6位に國峰と続き、埜口は7位でゴール。レイターバーガーが2位になったため、ポイントランキングでは逆転され暫定2番手となったが、1ポイント差だけに、レース2での巻き返しに期待したいところだ。

 8位に荒川、9位に秋吉耕佑、10位に豊島怜、11位にザクワン・ザイディと続いた。

SS600 レース1:阿部恵斗(ONEXOX TKKR Racing Team)/2023FIMアジアロード第3戦日本ラウンド
SS600 レース1:阿部恵斗(ONEXOX TKKR Racing Team)/2023FIMアジアロード第3戦日本ラウンド

 SS600クラスのレースは、ウエットコンディションとなってスタート。途中、赤旗中断があり第2レースは、5周の超スプリントとなる。これをものとしなかった阿部恵斗が、再び独走体制を築くと、うれしいARRC初優勝を飾った。2位に南本宗一郎、3位にナカリン・ヘルミ・アズマンと続いた。

2023FIMアジアロード第3戦日本ラウンド AP250 レース1 スタートシーン

 AP250クラスはフル参戦している井吉亜衣稀が4番手を走り検討していたが残り2周でマシントラブルが発生しストップ。23位で完走扱いにはなったが悔しいレースとなった。ワイルドカード参戦の千田俊輝が10位、フル参戦の石井千優が16位と惜しくもポイント獲得はならなかった。

AP250 レース1:井吉亜衣稀(Motul Sniper Manual Tech)/2023FIMアジアロード第3戦日本ラウンド
AP250 レース1:千田俊輝(SDG MS Harc-Pro.Honda.Ph.)/2023FIMアジアロード第3戦日本ラウンド

 TVSアパッチのワンメイクレースは、昨年に続き尾野弘樹がワイルドカード参戦し、圧倒的な速さを見せて優勝。フル参戦している田中風如が初日のトラブルを何とか解消し5位。ワイルドカード参戦の中原美海が10位でゴールしている。

TVS レース1:優勝した尾野弘樹/2023FIMアジアロード第3戦日本ラウンド

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