福井発「最強ライブアイドル」せのしすたぁ10年目 予測不能のパフォーマンス、己の道を全力で

活動10年目に入った「せのしすたぁ」。2人のライブに欠かせない脚立は「3人目のメンバー」という=福井県福井市の福井新聞社
東京・下北沢のライブハウスで歌うせのしすたぁ=2020年1月

 福井県坂井市のショッピングセンター・アミを拠点に活動するご当地アイドルグループ「アミーガス」の派生ユニットとして誕生し、5月で活動10年目に入った2人組アイドル「せのしすたぁ」。ステージ上を所狭しと走り回ったと思えば客席エリアに突然乱入。歌そっちのけで脚立に上り、「踊れ、踊れ」と客をあおる。誰が言ったか「百戦錬磨の最強ライブアイドル」。自分たちの道を全力で走り続ける。

 せのしすたぁは「アイドルがやらなそうな、めちゃくちゃなことをやる」のをコンセプトに2014年に誕生した。メンバーのまおさん(28)=坂井市出身=は12年、ゆーたんさん(29)=福井市出身=は13年にアミーガスに加入した。せのしすたぁの活動と並行して、小中学生が中心メンバーのアミーガスでは“お姉さん”として、ほかのメンバーにアイドルや社会人の模範を示している。

 せのしすたぁでの役割について、まおさんは「自分は特攻隊長。萎縮して何もできないことはない」ときっぱり。客席へのダイブや客に体を持ち上げてもらい頭上高く運ぶ「サーフ」も当たり前だ。一方、ゆーたんさんは「私はビジュアル担当かな。せのしすたぁがアイドルでいられるのも、顔も楽曲もいいからってなってると思う」と、しれっとぶっ込む。

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 アミーガスは昨年40回のライブを行い、そのうち福井県内が29回、石川県が11回だった。一方、せのしすたぁは年間20本のうち福井県内はわずか1回。東京を中心に全国各地で活動している。コンセプトが特殊なだけに、バンドやヒップホップアーティストとの共演が多く、その分“とがった”ステージパフォーマンスが磨かれたという。

 「とにかくお客さんを喜ばすためなら何でもやる」と、まおさん。「最近、ライブ中にゆーたんが唐突に走り出したりして困る」と注文をつけると、ゆーたんさんは「まおが困る顔が見たくて」と笑う。予測不可能、予定調和じゃないパフォーマンスがファンの心をつかんでいる。

 ゆーたんさんは、もともと半年だけの思い出づくりのつもりでアミーガスに加入、気付いたら活動10年に。「親にはいつまでやるのって言われるけど、人生一度きり、やりたい事をやりまくらないと」と笑う。まおさんは「いつか(国内最大級の野外音楽イベント)フジロックに出たい」と話す。10年目に突入し「今が一番楽しい」と充実感が漂う2人。「無理せず楽しいライブをずっと続けたい」

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