ボトルを寝かせるのはなぜ?ワインセラーの理想的なボトルの並べ方とは!?【一生に一冊はもっておきたいワインの教科書】

ワインを保存する

第1アロマと第2アロマは、たとえばレザー、トリュフ、森の下草の香りと変化しながら繊細に混じりあう。そして、タンニンがおだやかになり、ビロードのような口あたりが生まれたりする。長期熟成型ワインの醍醐味は、ゆっくりと生成される第3アロマにある。

ワインのタイプによって違う熟成期間

いくつか例外はあるものの、ワインの熟成期間には一定の傾向がある。

ワインボトルの並べかた

ボトルを寝かせるのはなぜ?

それは、寝かせるほうが保存に向いているからだ。コルク栓は乾燥すると縮み、ボトル内に空気が入ってワインが酸化する。寝かせることで、コルク栓がワインと常に接して湿り、乾燥することがない。保存する際の重要ポイントだ。

ワインボトルの並べかた

温かい空気は上昇する。適温を保ちながら、ワインを探し出しやすくすることを考えると、白ワインは床の近くがいい。赤ワインは白ワインの上に、近いうちに飲むワインは手前に、長期熟成型タイプのワインは奥のほうに置くようにしよう。

保存向きのボトルとは?

保存向きのボトル:750㎖ボトルよりも、その倍の量のマグナムのほうが保存に向いている。液体の量に対し、空気の量が少ないからだ。750㎖ボトルのほうが空気が多いので、熟成もはやい。ボトルが小さければ小さいほど、ワインもはやく変化するというわけだ。

スクリューキャップと熟成の関係とは?

スクリューキャップと熟成の関係:スクリューキャップは、密封性に非常にすぐれているため、アロマが酸化しやすいフルーティーで手ごろなワインや、白やロゼ、赤の中級品まで、さまざまなワインに適している。しかし、ワインの変化をおさえられても、完全にとめることはできない。

理想的なワインセラー

ワインを最高の状態で保管するには、ワインセラーに6つの条件が求められる。

【1/涼しい】ワインセラーの温度は10~15度に保とう。温度の乱高下は禁物だ。ただし、夏場にゆっくりと数度上昇するのは問題ない。

【2/無臭】においは栓を通して、あっという間にワインに吸収される。

【3/振動しない】ワインの分子は揺れに弱く、品質がそこなわれる。

【4/暗い】光はワインの大敵。アロマがだめになって、とり返しがつかないことになる。

【5/適切な湿度】乾燥しすぎたワインセラーは、ワインにとって災難以外のなにものでもない。70~80%に保てるように、湿度計で管理しよう。これ以下だと、栓が硬化して、ワインが蒸発したり酸化する。湿度が高すぎてしまっても、ラベルが汚れる程度で問題はない。段ボールは、ワインセラーの湿気を吸って、カビ臭くなるのでつかわないように。

【6/風通しがいい】ワインセラー内は、空気が循環していなければならない。風通しは、コルク栓をむしばむカビの生成をおさえる。

【そのほか】ワインの香味に影響するため、開封後のペンキ缶と一緒に保管したり、段ボールに入れてキッチンなどワンセラー以外の場所で保管するのは避けよう。

繊細なワイン

ワインによってはとくに酸化に対して抵抗力が弱いものがあり、保管温度にも細心の注意が必要だ。亜硫酸が添加されていない、またはごく少量しか添加されていないワインもその1つで、最高でも14~15度で保管しなければならない。一般的に、白ワインは赤ワインよりも繊細だ。タンニンを含む赤ワインは、多少の温度変化にも影響されず、品質がそこなわれることもない。

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気になる中身を少しだけご紹介!ワインのスタイルによってブドウの収穫タイミングが変わる!手摘みと機械の収穫ではどう違うのか?

収穫に適した最良のタイミングって?夜間収穫もある?

ブドウが熟したら、収穫のはじまりだ。収穫は手摘み、または機械で行う。開花してから100日ほどで収穫に入るが、ブドウの成熟度と目標とするワインのスタイルによって、収穫のタイミングを決める。収穫日の決定は難しく、責任重大だ。はやすぎると、実が酸っぱく、糖分の含有量も低い。遅すぎれば、過度に成熟して酸味が足りず、糖度がごく高くなるほか、灰色カビ病に感染するリスクもある。栽培者は時間をかけて天気予報をチェックし、ベストなタイミングを見きわめる。

手作業で収穫するのは負担が重く、時間もかかるが、格の高いアペラシオンや、アクセスしにくいブドウ畑や丘陵、特殊な醸造法を必要とするブドウでは手摘みがふつうだ。たとえば、極甘口ワインに用いる貴腐菌ボトリティス・シネレアのついたブドウは、手摘みと決まっている。シャンパーニュなど一部のアペラシオンの規定でも、収穫は手摘みとされている。手摘みには、摘む人と運ぶ人のチームワークが重要だ。摘む人は剪定ばさみで注意深く房を切り、ケースなどに入れる。運ぶ人は背負いカゴにブドウを入れて列の端まで運び、ケースなどに入れる。ケースならそのままトレーラーに乗せて、醸造所まで運んでいける。

新鮮さを保つため、月と星の明かりのもとライトをつけながら収穫することを夜間収穫という。冷気がブドウの酸化を防ぎ、実に含まれるフレッシュさやフローラルなアロマをあますところなく守ってくれるのだ。

機械収穫は手摘み収穫となにが違う?

収穫機はブドウ収穫のために設計された機械で、1回で収穫のすべての作業を行う。ブドウ樹の列をまたいで進み、振動作用を利用して作業する。機械から支柱とブドウ樹に振動を伝えることで、実がふり落とされるというわけだ。ただし、すべての品種が機械収穫に向いているわけではない。

収穫機が登場したのは1970年代。効率的に収穫できるのが強みで、実が樹になったまま腐るなどという事態を防げる。また夜間にもつかえるので、ブドウの鮮度を保ちやすい。経済面でも機械は文句なしに優秀。機械収穫されたブドウはクオリティが劣ると、まことしやかにいわれているが、新世代の機械なら、しっかり調整して準備をしておけば、抜群のはたらきをしてくれる。

世界中のワインをもっと深堀り!プロヴァンス地方のワインの魅力とは?

ロゼワインといえば、明るいピンク色が特徴だが、プロヴァンス地方のロゼワインは、洗練されたニュアンスの繊細な色あいだ。微妙な色調をあらわすのにつかわれるのは、スグリ、モモ、グレープフルーツ、メロン、マンゴー、マンダリンオレンジなどフルーツの名前だ。

南仏バンドールのワインは気候を活かして作られた!ロゼワインのピンク色はどこからくる?

バンドールのブドウ畑は、サント・ボーム山塊から地中海沿岸にかけ、自然がつくり出した石の積まれた段丘のレスタンクに広がっている。生産者たちは何世紀もかけて、丘陵を開墾してブドウ樹を植えた。海に面した南向きの畑は、年間を通してたっぷりと陽光を浴びる。バンドールの赤ワインは、おもにムールヴェードルからつくられている。ゆっくりと熟すムールヴェードルは、このアペラシオンの中心品種で、アサンブラージュの50%以上を占め、グルナッシュとサンソーをあわせてつかう。前者はボリューム感を、後者は繊細さをもたらす。ワインは長期熟成型で力強く、しっかりとした骨格で、ドライハーブやスパイスのアロマを備えている。

ロゼワインの醸造では、黒ブドウの果皮を漬け込むため、色素が果汁に溶けてピンク色になる。つまり、色はタンク内での果皮と浸漬時間、温度、ほぼ無色の果汁と果皮の接触度に左右される。現在のトレンドは淡いピンク色。ロゼワインの色とクオリティに相関関係はないが、ビジュアルは重要で、選択基準の1つにもなる。淡い色のロゼワインは、より酸が生き生きとしてアロマが豊かだ。濃い色のロゼワインには、上質なメイン料理とあう高品質のものもある。

★ワインを観察してみよう ★各種ワインの醸造法とは? ★料理との組み合わせを知ろう ★フランスだけじゃない!世界のワインとは?
などなど気になるタイトルが目白押し!

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【書誌情報】
『エコール・デ・ヴァン・エ・スピリテューの一生に一冊はもっておきたいワインの教科書』
エコール・デ・ヴァン・エ・スピリテュー 著/奥山久美子 監修

エコール・デ・ヴァン・スピリテューはワインの本場、フランス・パリに本拠を置く人気のワイン専門学校。体系的メソッドにもとづくグランド・テイスティングコースから生まれた本書では、パリの授業をまるごと基本からあらゆるワインの紹介までまとめています。さあ、さっそくテイスティングをはじめましょう。実践重視の学校らしい、テイスティングの視点からぜひ試してほしいワインが満載。フランスは圧巻の充実ぶり、ニューワールドもていねいに紹介します。 すぐれたワインはなにが違う?どうやってアロマは生まれる?どうすればアロマを見きわめたり表現したりできる?ワインの特徴や、クオリティが生まれる仕組みも図解だからとってもわかりやすく、簡潔。各章末には、それまで学んだことをベースにトライできるテイスティングレッスンを用意しています。テイスティングのためのワインもしっかり紹介。学んだことが、ワインにどんな違いを生むのかあなたの舌でたのしく復習しましょう。すきま時間にぴったりのテストもあります。この本が、シンプルな「好き」「嫌い」をこえてあなたのテイスティングのアプローチを新たな次元へと導いてくれるはず。

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