東京ホテイソン 歩み振り返る 神楽風ツッコミで人気上向く

観客の拍手を浴びて登場した東京ホテイソンのたける(左)とショーゴ=10日、岡山市

 備中神楽の節回しを取り入れた独特のツッコミで活躍の場を広げてきた。出会いから10年目を迎えたお笑いコンビ・東京ホテイソンのたける(28)=高梁市出身=とショーゴ(29)=東京都出身。今月、岡山市で単独ライブを開いた2人にこれまでの歩みや今後の目標を聞いた。

 「い~やあべこべひろし~!」―。10日、岡山市北区柳町の山陽新聞社さん太ホール。たけるのツッコミがさえる漫才や岡山をテーマにしたトークで、会場からは大きな笑い声が上がった。

 コンビ結成のきっかけはSNS(交流サイト)だった。2014年、たけるが相方募集のため投稿したネタ動画を見て「あまりに声がいい。運命を感じた」とショーゴ。たけるは「うるせえ」と照れつつ「(幼い頃から)備中神楽をやってたから、度胸とか発声は身に付いていたのかも」と振り返る。

 翌年に活動を始めた頃は一般的な漫才のスタイルだった。なかなか芽が出ず2年ほどが過ぎたある日、ライブで自然に出たというのが神楽風のツッコミ。当初は「お手本にする人もいなかったので、合ってんのかこれ」と疑心暗鬼だったと明かす。

 徐々に人気は上向いていったが、ネタが全く思いつかなくなり、19年には「辞める一歩手前」まで思い詰めた。仕事は減り、給料が家賃を下回ることも。そんな苦境のさなかで生まれたのが「回文」や「英語」をモチーフにした人気のネタ。どん底からはい上がり、20年に漫才コンクール「M―1グランプリ」の決勝に進んだのを機に、テレビやラジオでレギュラーを持つ売れっ子となった。

 M―1では21、22年と決勝進出を逃し、目標は「もう一度、決勝に行くこと」と2人。「芸人の中では若手。(遅咲きの芸人に比べると)人間の厚みが少ないから、違うところで頑張らなきゃ」と言い、今のペースでテレビに出続けながら、ユーチューブや動画投稿アプリ・TikTok(ティックトック)などSNSでの発信にも力を入れたいとする。来年はコンビ結成10年目。芸を磨き上げ、さらなる躍進を誓う。

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