【神戸6歳遺体】「犬の首輪つけられても嫌がらなくなっていた」目撃された異様な光景…次男の同居後にあった一家豹変

供えられていたアップルジュース。修くんが大好きだったという

6月22日、穂坂由美子さん(57)に対する監禁と傷害の疑いで長女の穂坂沙喜容疑者(34)と次男の穂坂大地容疑者(32)、双子で次女の穂坂朝美容疑者(30)と三女の穂坂朝華容疑者(30)の4人が逮捕された。

4人には今年3月ごろから3カ月間に渡って由美子さんを繰り返し押し入れに閉じ込め、鉄パイプで複数回殴りケガをさせた疑いが持たれている。押し入れの外側には、鍵が取りつけられていたという。由美子さんは監禁されていた自宅から逃げ出し、20日深夜に車いすに乗った状態で保護された。

さらに、沙喜容疑者から「息子の遺体をスーツケースに入れて、4人で運んだ」という供述が浮上。実際にスーツケースは自宅アパートから800メートルほど離れた草むらにあり、中から沙喜容疑者の息子・修(なお)くん(享年6)が変わり果てた姿で発見された。

一家がこのアパートに引っ越してきたのは、2011年ごろだった。

「住んでいたのは、築40年以上の古い二階建てアパートでした。一階と二階が使える、いわゆるメゾネットタイプ。広さは一階に六畳一間とダイニングキッチンとバストイレ、二階に六畳が二間。家賃は6万円、角部屋は7万円です。

最初はお母さんと双子の娘である朝美さんと朝華さんが3人で暮らしていました。そこへ2017年ごろに長女の沙喜さんが一緒に住むようになり、すぐ修くんを産んだんです。そこから5人で暮らすようになっていました。修くんの父親については、見たことがありませんでした」(近所の人)

近所の人たちへの取材によると、このころの一家の暮らしぶりについては穏やかな生活ぶりがうかがえるものばかりだった。

「お母さんも娘さんらもみな背が低くて、ぽっちゃりとした体型でした。お母さんはいつも車椅子に乗っていて、遠くへ行く際はタクシーを使っていました。娘さんらが車椅子を押しながら外出したり、車椅子からタクシーに載せかえてあげたりする様子をよく見ていました。このころは、お母さんと娘さんたちはすごく仲がいい母子にみえました。

修くんも沙喜さんに手を繋いでもらって保育園に通っていたので、関係は問題ないようにみえました。また双子の朝美さんと朝華さんも毎朝決まった時間に出かけていたので、働いて収入を得ていたんじゃないかと思います。何の仕事かはわかりません」

■修くんが離れると母が首輪の紐を引っ張って…目撃された異様な光景

そんな穏やかにみえた一家の生活ぶりが豹変したのは、昨年末ごろ。次男の大地容疑者(32)が一緒に住むようになってからだったという。

「多くの近所の住民は、『他のきょうだいはみな次男のいいなりだった』と証言しています。大地容疑者の怒鳴り声に対して、他のきょうだいが『誓います!』と叫ぶ声が聞こえてきたこともあったといいます。『まるで王様』『異様だった』などの声もあるように、大地容疑者が引っ越してきてから一家の雰囲気がガラッと変わってしまったというのです。

また、修くんの様子にも変化が見られるようになったといいます。それまで沙喜容疑者といっしょに保育園に通っていたのに、ぱたりと姿を見せなくなったそうです。家の外には、子供の泣き声が頻繁に聞こえるように。ベランダに放り出され窓の鍵をかけられて、『助けてー』と泣き叫んでいたこともあったそうです」(事件記者)

そんななか、近所の住民は“ある異様な光景”を目撃していた。

「あるとき、お母さんが手押し車を押しながら歩いていました。買い物に行く途中だったのでしょう。その傍らには修くんもいたのですが、よく見ると犬の首輪をつけられて手押し車と繋がれていたんです。私は『あの子、犬やん!』と、びっくりしてしまいました。

しかも修くんが離れそうになると、お母さんが『そっちに行くな』と言わんばかりに首輪から伸びる紐を引っ張るんです。犬の散歩そのものでした。修くんは慣れてしまっていたのか普通にしていて、首輪をつけられていることを嫌がる素ぶりもありませんでした」

さらには、こんな証言も……。

「夜中にトントントンという、何かを叩くような音が聞こえて来ていました。あれは鉄パイプで誰かを叩いていたんでしょうか」(近所の人)

■自動販売機でジュースを買って…かつてあった母子の微笑ましい姿

実際、4月末ごろに保育園で修くんの肩とお尻に殴打されたような痕がみつかり、市に連絡があったという。

「5月に入って神戸市の職員が訪問すると、沙喜容疑者と由美子さんが『子供に育てにくさがある』と修くんの一時保護を申し出ていたそうです。だが引き渡し日時になると来なかったり『子どもが嫌がる』と理由をつけたりして、引き渡されることはありませんでした。

すると5月9日になって由美子さんが『家族で育てるので、一時保護はしなくても結構です』と断ってきたそうです。ただ由美子さんはこのころ、すでに実質的な監禁状態だったとも考えられます」(前出・事件記者)

さらにそれから1カ月ほどがたった6月19日、事態は大きく動く。この日の由美子さんは監禁されるだけでなく、鉄パイプのようなもので殴打された。

すると同日午後4時半ごろ。暑いのに黒いコートを着て、フードをかぶり、サングラスをつけるという全身黒装束姿の4人きょうだいが目撃されている。彼らは海外旅行に持っていくような巨大なスーツケースを引いていたという。

自宅アパートから800メートルはなれた草むらまでスーツケースを運び、放置した。現場は池が複数集まる場所で、通路には「危険」の看板が出ているような人気のない場所だった。

このきょうだいらが家を出たタイミングで、由美子さんは監禁から脱出できたようだ。

「その後は由美子さんの証言をもとに、三宮の繁華街にいる4人を逮捕。そのときに修くんがいないことを追及され、遺体を運んだことがわかったのです。

スーツケースの中からみつかった修くんの遺体は、一部腐敗が進んでいたそうです。背中などには殴打の痕が複数あり、死因は外傷性ショック。死亡推定時刻は、発見の3日前。4人が黒装束姿でスーツケースを引いて自宅アパートを出た19日でした」(前出・事件記者)

自宅アパートから保育園までの道の途中には、1台の自動販売機があった。近所の住民はこう振り返る。

「お母さんが修くんの手を引いて、保育園まで連れて行っていました。修くんがぐずったときは、よくお母さんがこの自販機でジュースを買ってあげてね。そうしたら修くんは機嫌を直して、また保育園まで歩いて行くんです。そんな微笑ましい姿を、よく見ていました。

でも今年2月以降、2人の姿を見ることはいっさいなくなりました。『あれっ』と思っていたら、今回の事件をニュースで知ったんです。お母さん、あんなに修くんのことをかわいがっていたのに……。いったい何が起こったのか。残念でなりません」

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