伝統の水防工法学ぶ 茨城・下妻の鬼怒川河川敷 消防団員ら300人

堤防の漏水口拡大を防ぐ「月の輪」を造る消防団員たち=下妻市別府

大雨被害の可能性が高まる出水期を前に、下妻市や八千代町など茨城県の4市1町で構成する「鬼怒・小貝水防連合体」の水防訓練が25日、同市別府の鬼怒川河川敷で行われた。消防団員たちが河川氾濫を想定して伝統的な水防工法の手順を学び、作業能力の向上や水防体制の必要性を再確認した。

訓練は、鬼怒川や小貝川流域の下妻、常総、つくば、つくばみらいの4市と八千代町が連携を強化し、水防への理解を深めるのが狙い。各市町の消防団や茨城西南広域消防本部、国や県の関係者ら約300人が参加した。長時間の大雨によって下妻市別府周辺の鬼怒川で水位が上昇、越水の恐れがあるという想定で実施した。

消防団員は、県常総工事事務所と県土浦土木事務所の指導を受けながら、水防作業の手順を確認。堤防の漏水口の拡大を防ぐ「月の輪」のほか、堤防のり面が崩れた場合の「シート張り」、越水を防ぐ「積み土のう」、ポンプ車から水を注入する「水のう」造りなどに取り組んだ。

訓練の本部長を務めた八千代町の野村勇町長は「訓練成果を地域の水防活動に役立ててほしい」とエール。同町の沢木清司消防団長は「動作や作業の意図を把握しながら取り組めた。いざという時、訓練に即した動きができる」と話した。

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