日光閣僚会合閉幕 ジェンダー平等社会へ共同声明 栃木県、レガシー受け継ぐ

会場のホテル「ザ・リッツ・カールトン日光」庭園で写真撮影に臨む各国の閣僚ら=25日午前11時20分、日光市中宮祠

 栃木県日光市で開かれた先進7カ国(G7)男女共同参画・女性活躍担当相会合は25日、男女間の賃金格差など経済面でのジェンダー(社会的性差)格差解消を喫緊の課題とするとともに、性別役割意識の変革の必要性などを訴える共同声明「日光声明」を採択し、閉幕した。新型コロナウイルス禍やロシアによるウクライナ侵攻で「ジェンダー平等社会への取り組みが大きく後退した」との懸念も示され、各国が協調して対応する方針を打ち出した。

 閉幕後の記者会見で、議長を務めた小倉将信(おぐらまさのぶ)男女共同参画・女性活躍担当相は「女性の経済的自立やジェンダーに基づく暴力などの課題に関し、今後の取り組み方針を分野横断的、体系的に整備できた。日本も取り組みを着実に実施していく」と述べた。

 声明ではジェンダー平等と全ての女性・女児のエンパワーメント(地位向上)を加速させる決意を表明。女性の経済的自立を阻むものとして役員や管理職の女性割合の低さや就業分野の偏り、家事などの無償労働の不平等な分配を指摘した。

 ジェンダーに基づく固定観念や偏見を取り除き、女性がデジタルをはじめとする理工学系の成長分野に参入できるよう、リスキリング(学び直し)の機会を増やす必要性を強調。LGBTなど性的少数者についても触れ「全ての女性・女児、性的少数者の人権と尊厳が尊重される社会の実現に向け努力を続ける」などと明記した。

 ロシアのウクライナ侵攻により増加する紛争下での性暴力にも言及し、「危機的状況下にいる女性と女児の権利の後退に強い懸念を表明する」とした。

 同会合はG7広島サミットに伴う閣僚会合の一つで、本県では初の主要国際会議となった。県は9月に福田富一(ふくだとみかず)知事と県内企業トップとの意見交換会を開くほか、会合での議論や本県の課題を県民と共有するシンポジウムを11月に開催する予定で、会合のレガシー(遺産)として男女共同参画への理解促進を推進していく。

 

共同声明文を手にする小倉担当相(右から4人目)と各国の閣僚ら=25日午後3時5分、日光市中宮祠

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