<社説>男女格差 日本125位 解消へ本気度が問われる

 スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが発表した2023年版「男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告」で、日本は調査対象の146カ国中125位と、過去最低となった。22年の116位から順位を下げ、過去最低だった19年の121位も下回った。 先進7カ国(G7)では、79位のイタリアに大きく引き離されている。男女平等において、先進国として胸を張れるのか。改善が進まない要因に真摯(しんし)に向き合い、社会全体で改善に取り組む必要がある。

 報告は政治、経済、教育、健康の4分野について、男女参画の平等達成度を指数化したものだ。日本は政治で138位と最低水準で、経済でも123位にとどまった。教育、健康の両分野では男女平等がほぼ達成されており、政治、経済分野で女性進出が実現していない現状が見える。

 列国議会同盟(IPU)などによると、ことし5月時点の国会議員の女性割合は、日本を除くG7(下院)で37.8%~28.7%だが、日本(衆院)は10.3%と大きな開きがある。

 47都道府県議会を見ると、4月の全国統一地方選で30議会で女性が増えたものの、非改選を含めた全国平均は14%にとどまる。

 女性の政治参加を阻む理由は何か。内閣府が全国の女性地方議員にアンケートしたところ「政治は男性のものという固定的な考え方が強い」「議員活動と家庭生活の両立環境が整備されていない」などが挙げられた。その解消には、議会における休業制度などの明文規定創設や、政党などが女性候補の増加に向けて積極的に取り組むことが必要だ。

 選挙の候補者を男女同数とするフランスの「パリテ法」や、候補者や議席の一定数を女性に充てる「クオータ制」の導入も検討する必要がある。

 一方、経済分野では収入格差や女性管理職の少なさが指摘された。厚生労働省の22年の調査では、女性のフルタイム労働者の給与が男性より2割も低い。経済協力開発機構(OECD)が22年に発表した加盟国など44カ国の統計によると、日本の男女賃金格差は下から4番目だ。

 課題として、出産が女性のキャリア形成で不利に働くことが指摘される。出産や育児でキャリアが中断され、役職に就きにくくなるようなことがないよう、企業や社会全体での取り組みも急務だ。

 政府が決定した「女性版骨太の方針2023」では、東証「プライム市場」に上場する企業の役員について、30年までに女性比率を30%とする目標を明記した。企業での女性活躍を推進する上でも、家事と育児が女性に偏るような性別による役割分担の意識変革が求められる。

 男女平等が進むことで、意思決定の場に多様性が保障され、性別によらず能力が発揮できる社会の実現につながる。格差解消に向けた日本の本気度が問われている。

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