韓国から沖縄全戦没者追悼式に参列 済州平和財団「交流継続を」

 韓国・済州島で、軍や警察によって島民数万人が虐殺された「4.3事件」について、真相を究明し記憶を継承する活動をしている済州4.3平和財団の高喜範(コヒボム)理事長ら4人が、23日に糸満市摩文仁で開催された沖縄全戦没者追悼式に初めて参列した。沖縄県の注力する「地域外交」によって改めて結びついた両地域は、悲劇的な歴史を持つことや島しょ地域であることなど共通点が多い。高氏は「今後、相互に訪問して交流を続けて行ければ、互いに大変有意義だと思う」と話した。

 「4.3事件」は、1948年に米軍政下の済州島で起きた、軍や警察、武装隊などによる島民虐殺事件を指す。島民らは、東西冷戦下で朝鮮半島を分断しようとした米軍の動きに抵抗。治安維持名目で約6年にわたって虐殺が行われ、54年ごろまでに3万人以上が殺害されたとされる。

 高氏らは、追悼式に参列した後、県平和祈念資料館の前川早由利館長らと今後の交流について意見を交わした。同資料館では、展示を熱心に見学し、職員に質問した。24日には対馬丸記念館も訪問した。高氏は「沖縄戦では4人に1人が犠牲となり、現在も米軍基地や日米地位協定などの問題が残っていると聞いて胸が苦しくなる。同じような痛みを経験した地域として、兄弟愛をより深めていきたい」と話した。 (沖田有吾)

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