子どもたちを性犯罪から守れ! 政府が法制化を目指す“日本版DBS”とは?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。6月19日(月)放送の「FLAG NEWS」のコーナーでは、こども家庭庁が法案提出を目指す“日本版DBS”について取り上げました。

◆子どもたちの安全のために…日本版DBSとは?

小倉こども政策担当大臣は、子どもと接する仕事に就こうとする人が過去に性犯罪歴がないことを確認する仕組み「日本版DBS」について、秋にも法案の提出を目指す考えを明らかにしました。

これはイギリスの制度を参考に、公的機関が発行する「無犯罪証明書」を勤務先に提出させることを想定しています。こども家庭庁は6月中に制度作りに向けて法律や児童心理の専門家、保護者らによる有識者会議を開き、職業選択の自由やプライバシー、証明の具体的な手続きなど議論を行う方針です。

NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは「非常に素晴らしい政策、これは絶対に必要」とこの仕組みについて賛成する一方で、別の角度から見ると、今回の法案は政府が提起しているものですが、原案となるイギリスの制度は民間から始まった動きで、その端緒の違いに違和感を唱えます。

大空さん曰く、イギリスでは民間からDBS(Disclosure and Barring Service)の必要性が上がり、それが議員に伝わり、超党派の動きが活発化。その結果、実現に至ったものの、日本はこども家庭庁が発足とともに性犯罪に関わる運動をしていたNPO団体を吸収。そのスタッフは現在、こども家庭庁で働いているそうで、全て政府主導で行われていることに対し「そうなると野党の意義はどこにあるのか」と指摘。

総じて、「いい政策の陰には民間からのアドボケイト(子どもの意見の代弁)だったり、野党側からの提案だったりがあまり効かなくなってくる可能性もあるんじゃないか」と全てが政府に取り込まれ、カウンターとなるものがなくなってしまうことを案じます。

◆海外ではボランティアも身の潔白を宣言

コラムニストの河崎環さんも、この仕組みによって性犯罪歴を確認することを「大賛成」としつつ、イギリス、スイス、北米と世界各地で子育てをしてきた経験のなかで感じたことを語ります。

河崎さんが特に興味深いと感じたのは、例えば、幼稚園の遠足にボランティアで同行することになった際、海外では必ず渡される紙があり、それは性犯罪歴がないと認める証文。

そこには「私には性犯罪歴がありません」、「子どもたちに対して攻撃を仕掛けたり、彼らを傷つけようという意図は持っていません」といったことが明記されていて、そこにサインをして毎回提出することが求められるそうで、「子どもと接する大人が、安全であることを自分で宣言する。すごく気持ちのいい線引きがされていて、同じような感覚が日本の保育の現場にも持ち込まれるのは大事なこと」と河崎さん。

キャスターの堀潤は「それは誰もが罪を犯すかもしれないことを認めるところから始まっているからこそ成り立つことで、日本の場合は"そんなことは確認するものではない”という土壌があり、そこから変わっていかないと難しいかもしれない」と日本と海外との違いを指摘。

河崎さんもその懸念は理解するも「(性犯罪歴を確認することは)失礼なことでもなんでもなく、むしろ、我々からすると宣言したほうがお互い楽になる。そういう意味でも言語化、明言化は大事」と改めて性犯罪歴の確認の必要性を訴えます。

脳科学者の茂木健一郎さんは、異なる視点から問題点について言及。現状、マイナンバーカードにまつわるトラブルが日々騒がれるなか、「日本のITは大丈夫なのか」と危惧し、行政が運用するIT事業の根本的な転換を求めた上で「このDBSで誤登録などがあったら大変なことになる。だけど、今のままでは出てしまう可能性があると思う」と新たな問題を提示していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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