A.ランゲ&ゾーネ オデュッセウス「原点にして頂点」【今週の逸本 Vol.204】

フォーマルからインフォーマルまで、自身のこだわりを移す鏡として選ばれる腕時計の数々。ここではブランド腕時計専門店・MOON PHASE(ムーンフェイズ)が最新モデルからアンティークまで、見る者の感性を刺激する1本をセレクト。今回は、A.ランゲ&ゾーネが2019年に発表した新コレクション、ブランド初のスポーツモデル『オデュッセウス』をご紹介しよう。

A.LANGE & SÖHNE
ドイツにて時計師として名を馳せていたアドルフ・ランゲが、1845年に時計工房を開いたのがはじまり。彼はこの地を、住民と共に高級時計製造の聖地へと押し上げた。アドルフの死後は2人の息子が後継ぎになり、製造規模を拡大。1868年に「A.LANGE & SÖHNE(A.ランゲ&ゾーネ)」=A.ランゲと息子たち、というブランド名が誕生。伝統的な手法、技術を惜しみなく現代のハイテクノロジーに投入し、2007年には「31日間パワーリザーブ」という空前絶後の『ランゲ31』、2008年には120時間パワーリザーブ、世界初ハック機能付きトゥールビヨン『カバレット トゥールビヨン 』などの発表で、次々と時計の常識を覆してきた。その挑戦はいまなお続いている。

ランゲ初のスポーツウォッチ

当連載ではこれまで、A.ランゲ&ゾーネの『ランゲ1』、『リヒャルト・ランゲ』『サクソニア』といったタイムピースをご紹介してきた。同ブランドにはほかにも『ツァイトヴェルク』、『1815』といったコレクションがあるが、どれもドレッシーなもので、ランゲ=ドレスウォッチのイメージを持っていた方もいるだろう。
▶︎▶︎A.ランゲ&ゾーネの時計紹介は こちら

ところが、2019年にA.ランゲ&ゾーネがスポーツウォッチ『オデュッセウス』を発表したことでそのイメージは一変する。

心臓部には同コレクション専用の新開発ムーブメントを採用するなど、ラグジュアリー&スポーツ(ラグスポ)のジャンルに、ドイツ時計最高峰のブランドが本気で乗り込んできたわけだ。

今回ご紹介するのは、ケース素材に18Kホワイトゴールドを使った1本。ラバーベルトが特徴的な『オデュッセウス Ref.363.068』である。

オデュッセウス Ref.363.068

オデュッセウスの発表後しばらくは人気で購入できない状況が続き、A.ランゲ&ゾーネのコンプリケーション時計を買う、もしくは一定金額以上時計を購入しないと予約ができないという“ウワサ”(真偽は不明)もでるほどであった。

現在ではようやくチラホラと中古市場にも出回るようになり、一般的にも購入できるようになってきたわけだが……まだまだ数は少なく、入荷してもすぐに売れてしまうという状況だ。

なかなか現物を見ることのできないモデルなのである。ではここからは細部を見ていこう。

ホワイトゴールドのケースに包まれたグレーの文字盤は真鍮製。インデックスや針にはスポーツモデルらしく夜光塗料が塗られている。これまで同ブランドのラインナップはドレスウォッチのみだったため、夜光塗料が塗られたランゲウォッチはとても新鮮だ。

3時位置にはブランドのアイコンでもあるビッグデイト表示を置き、9時位置にはビッグデイトと同じバランスでデイ表示を設け、6時位置には文字盤のデザインを踏襲したスモールセコンドを配置。

リューズの上下にはビッグデイトとデイ表示の操作用プッシュボタンが設けられている

本モデルはスポーツウォッチのため、ねじ込み式のリューズを採用。120M防水と必要十分な防水性が確保されている。

シースルーバックからは、専用開発の自社製ムーブメント 「キャリバーL155.1 DATOMATIC」が楽しめる。表面には手作業による美しいエングレービングが施されており、ここだけ見るとまるで超高級ドレスウォッチのよう。
※「DATOMATIC」は日付機構と自動巻きの組み合わせを意味する言葉

ストラップとの接続部にはプッシュボタンが付いており、簡単にストラップの付け替えが行える仕組みだ。

ブランド初のスポーツウォッチながら、まるで円熟したコレクションのような佇まいを見せる『オデュッセウス』。本モデルは元々ブティック限定モデルとして展開しているもの。なかなか市場に出ることも少ないため、探していたという方はこの機会をお見逃しなく。

A.LANGE & SÖHNE
オデュッセウス
品番:363.068
素材:ホワイトゴールド
サイズ:縦40.5㎜×横40.5㎜
防水:120M防水
ムーブメント:自動巻き
文字盤:グレー
販売価格:6,980,000円(税込)※USED
【付属品】
外箱、内箱、取扱説明書、国内正規保証書、工具等が付属
※価格は2023年6月現在のMOON PHASE銀座店・販売価格です。

MOON PHASE 〜STAFF VOICE〜

超絶ハイプライスウォッチで、欲しくてもなかなか買えなかった1本。ようやくその価格も落ち着いてきました。本個体は698万円と一見して高額ですが、これでもプレミア価格を割った金額なんです。

『オデュッセウス』は、まるで長きにわたりデザインや機能をアップデートしながら、満を持して登場した最新モデル!といったような佇まいで、第一弾ですでに完成系のような雰囲気があります。A.ランゲ&ゾーネの技術力とセンスが垣間見える1本ですね。

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