自慢のモデルカー 初の収集展企画 岡山の宇佐美さん、3千台超所蔵

ラ フェラーリ2013(BBR)

 玄関を一歩入るとすぐに深紅のフェラーリがお出迎え。3000台以上のモデルカーを家中に飾り、自動車カタログ約2万点を所蔵する筋金入りのコレクター、宇佐美慶人さん(67)=岡山市=が7月、初のコレクション展を企画している。「モデルカーはおもちゃではない。その美しさと精密な構造表現は芸術の域にある。愛品を多くの人に見てほしい」と話す。

 幼いころ、父親からのクリスマスプレゼント「ジャガー・Eタイプ」のモデルカーに魅せられたのがきっかけだった。以来、スポーツカーの大ファンに。名車のカタログにも夢中になり、ディーラーまでもらいに行ったことも。

 自動車の祭典・東京モーターショーには20歳から毎回通い、最先端の車に会いに行く。30年前ほど前、自動車店であこがれの「フェラーリF40」のモデルカーを見つけ、購入したことがきっかけでコレクター魂に火が付いた。「以来、通信販売のリストに見入っては、毎週のように店を巡るように。良い物の情報が入ると大阪まで足を延ばすこともあった」

 モデルカーの魅力について、「あこがれの車を実際に手に取り、その造形を心ゆくまで楽しめる。近年の技術向上はめざましく、12気筒エンジンからプレートまで、こだわりが尽くされている。計算された流線のフォルムはうっとりとするばかりです」。手袋をはめた手でそっと手に取り、そう語る表情は少年のようだ。

 コレクションは主にスポーツカー。BBRやCMC、ルックスマート、エブロ、京商など国内外の有名メーカーが手掛けたフェラーリ350台、ランボルギーニ130台、ポルシェ350台、メルセデスベンツ220台…、国産車もトヨタの「GRスープラ」レーシング仕様や、ル・マンで優勝した「GR010 HYBRID」など、名だたる名車がずらり。赤やオレンジ、青、シルバーなどカラーリングも鮮やか。サイズは、43分の1から18分の1が多い。

 自宅には廊下など5カ所を改装し、モデルカーが展示できるショーケースを設置する。カタログを保存する書庫も作っている。「ただしまい込むのではなく、展示をその時の気分で入れ替えながら、自慢の逸品を楽しんでいる。来客が見ほれてしまうこともありますよ」と話す。

 宇佐美さんのコレクションについて、ミニカーショップシャドウ(岡山市南区妹尾)の小野浩オーナー(69)は「私の店にも700点ほどしかないので、個人では岡山県内ではまれな規模」と話していた。

 コレクション展「私の愛した掌の上のクルマ達」は7月12日から17日まで。岡山市中区浜の「岡アートギャラリー」でよりすぐった約100点を展示する。「この歳になり、この先、コレクションが散逸することが心配になった。できれば価値を理解してくれる人や、美術館に託したいと考えている。“愛車”たちが安住の地を得るきっかけにしたい」と宇佐美さん。入場料は500円で、会場代などの経費に充てる。問い合わせは同ギャラリー(086―206―5005)。

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