真珠養殖など題材に制作 オランダの映画監督 上映会で住民らと交流 撮影地・大村湾

カキを食べながら住民らと交流するクラウスハルト氏(左から3人目)と大地さん(同4人目)=大村市、旧松屋旅館

 真珠やカキなど二枚貝をテーマにしたドキュメンタリー映画を制作し、一部シーンを大村湾で撮影したオランダの映画監督、ヴェルミック・クラウスハルト氏が18日、長崎県大村市松原本町の旧松屋旅館を訪ねた。完成した映画を上映し、地元住民らと交流を深めた。
 映画は2021年に公開された「ザ・テイスト・オブ・デザイア」。西洋で欲望の象徴とされる二枚貝を巡り、スウェーデンのカキ漁師やフランスのシェフなど5人の人生を通して人間の根源的な欲望、恐怖、尊厳に迫っている。東京のクリエーティブディレクター、大地千登勢さんも主要人物として登場。デザイナーとして大村湾の真珠養殖に携わる中で生き方を見つめる姿が描かれた。
 地元の人にも映画を見てもらおうと大地さんらが開いた上映会で、真珠養殖に取り組む住民ら約20人が鑑賞した。その後、住民が持ち寄ったカキや煮物を食べながら映画の感想や養殖の苦労などを語り合ったり、大村湾に沈む夕日を眺めに行ったりした。
 クラウスハルト氏は映画に「人間は欲があるから生きられる」との思いを込めたと説明。大村湾について「今まで行った湾の中でも特に美しく、スピリチュアル(精神的)な印象を受けた。養殖の仕事の丁寧さにも感動した」と話した。
 上映会は在日オランダ大使館の助成を受け同市と長崎市、東彼東彼杵町で実施。今後東京でも上映する。

大村湾でも撮影された映画を見る住民ら=大村市、旧松屋旅館

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