【今週のサンモニ】高橋純子朝日新聞論説兼編集委員の勘違いとルサンチマン|藤原かずえ 『Hanada』プラス連載「今週もおかしな報道ばかりをしている『サンデーモーニング』を藤原かずえさんがデータとロジックで滅多斬り」、略して【今週のサンモニ】。今週もスケープゴートを無理やり批判の偏向報道でお送りしていました。

番組からすると「次々と悪法を成立させる岸田政権」

今週のサンモニも批判したいスケープゴートを無理やり批判するという批判ありきの偏向放送を展開しました。

アナウンサー(VTR):自ら吹かせたとも言える解散風を味方に国会を乗り切った岸田総理、世論を二分し、激しい反発も招いた法案をいくつも成立させたのです。

その一つが難民申請を二度却下された外国人を強制送還できる改正入管難民法、福島第一原発事故後は慎重だったはずの原発政策をめぐっても、原発回帰に道筋をつけたGX脱炭素電源法を成立させました。あらに国会最終盤には、防衛費を一気に倍増させるための財源確保法も成立させました。倍増させる予算で他国の領域まで攻撃できるミサイルまで購入する方針です。

与良正男氏(VTR):敵基地への反撃能力を認めるなど安倍元総理でさえできなかったことをやり遂げた。(後略)

アナウンサー(スタジオ・トーク):今の国会で成立した法律の中には、原発の活用を国の責務と定めた法律や他国の領域を攻撃できるミサイルを大量に購入するなどして防衛費を倍増するための法律のように日本の重要政策を大転換するものがあります。

また、一昨年に一度廃案となった法案と同じ内容で入管難民法も成立し、またLGBTに関する法律も差別禁止を明確にしない自民党案をベースに成立しました。

番組のナレーションを聞いていると、まるで、

①難民を追い返し、
②原発事故を起こし、
③他国をミサイル攻撃し、
④LGBTを差別する

といった悪事を行うことができるように、岸田政権が次々と悪法を成立させたかのような説明です。まさに善良な人々を不幸にすることが大好きでたまらない子供番組の悪者キャラのような扱いです(笑)。

法案賛成側の主張としては、

①改正入管難民法は、難民を騙って極めて高確率で犯罪を起こす偽装難民を排除する目的の法律であり、
②GX脱炭素電源法は、温室効果ガスを排出することなく、太陽光・風力発電のように自然環境を破壊することなく、深刻な電力不足を解消し、暴騰する電気代を低下させるために原発を安全に稼働する目的の法律であり、
③防衛費財源確保法は、中国・ロシア・北朝鮮のような覇権国家から日本が核爆弾をはじめとする攻撃を受けた場合に、その攻撃を少しでも緩和して国民が死亡する確率を低下させる(けっして全員の命を守れない)目的の法律であり、
④LGBT理解増進法は、多様な性に関連して発生するトラブルを解消するための正義を確保する目的の法律です。

一糸乱れることなく子供騙しに加担

サンモニは、このような法案賛成の論拠となった法律の【便益 benefit0】を一切説明することなく、法律の【ハザード hazard】のみを強調し、政府と与党を悪魔化したのです。そして今回も御多分に漏れず偏向コメンテーターが一糸乱れることなく、この子供騙しに加担します。

寺島実郎氏:岸田政治の本質は何かということだが、「丁寧な説明」と言い続けながら極めてうつろな説明しかしないことに大きな特色がある。

エネルギーを例にとると、原子力重視に切り替えたわけだが、3・11後の日本の大きな政策の転換なわけだ。法等に国民の目を見て1時間でも2時間でも説明し切るだけの政策の基盤にある思想を持っているのか。

なぜわかりにくいのかといえば、アベ政治の呪縛の中でもがいている。外交ではプーチンと27回会って、一番プーチンと蜜月にあった。それが「G7だ」「NATOだ」ということで、軍事的なG7、NATOの結束の中にどんどん肩入れして行って、アベ政治とは全く違う断絶という方向に行っている

まず、国会議事録を見れば一目瞭然ですが、野党やメディアによる原発政策反対に対して反証側に立っている岸田政権は、電力不足と電気料金高騰に苦しむ国民の目を見て、今国会(第211回国会)だけでも、延べ150以上にわたる本会議・各種常任委員会・原子力問題調査特別委員会などを通じて、原発政策の説明責任を散々果たしました[下記会議録リンク先参照]。

原発回帰のどこに問題があるのかの立証責任を果たすことなく原発を停止させ、偉そうに批判だけしている怠慢な野党やメディアとは全く違います。

また、寺島氏が何を言いたいのかさっぱりわかりませんが、アベ政治の呪縛の中でもがいているのは旧態依然と安倍批判を繰り返しているメディアであって、岸田政権ではありません。

国民の目を見ていないのは、原発停止を扇動して国民を苦しめているサンモニの方です。

原子力問題調査特別委員会の会議録議事情報一覧

0か100かの立民・共産党は支持者を裏切り続けている

高橋純子氏:岸田氏がこの国会を乗り切ったと言うよりは、野党、とりわけ国民民主党・日本維新の会が政権与党をアシストした。野党の本分は、法案の問題点・不備を徹底的に追及する、そして説明責任を果たさせることだ。

しかし、維新や国民民主党は、どうせ多数を握っているのだから、反対してもどうせ通っちゃうんだから、法案の修正に力を入れるが、入管法も問題だらけの骨格を残したままの修正だ。LGBT理解増進法に至っては、当事者から「こんな法案では逆に後退した」と言われるような法案を通している。これではとても野党の本分を果たしているとは言えない。

コストパフォーマンスやタイムパフォーマンス重視で民主主義を動かされたらたまらない!

高橋純子記者

高橋氏は何か大きな勘違いをしていると思いますが、野党は政権に参加していないだけで独自の政策とそれに賛同する支持者を持つ政党です。政策が与党案と一致する場合には、無理やり追求して説明責任を果たさせる必要はありませんし、与党案に問題点・不備があれば、それを修正するよう行動すればよいだけです。

例えば、LGBT理解増進は与党案ではなく、実際には維新・国民案です。国民政党である日本維新の会と国民民主党は与党と合意点を探り、支持者の考えを可能な限り法律に反映しようと努力しました。

一方、0か100かで考える立憲民主党・共産党の意見は全く反映されることなく、ひたすら支持者を裏切り続けていると言えます。

「入管法改正案が問題だらけの骨格を残している」というのは高橋氏の個人の価値観であって、[テレビ朝日世論調査]では47%が改正案に賛成、反対しているのは24%です(29%が「わからない、答えない」)〔下記リンク先参照〕。

テレビで個人の価値観を主張するのは自由ですが、その個人の価値観を根拠に「野党は本分を果たしていない」という結論を得るのは、論理的に問題があります。

また、LGBT理解増進法に関しては、一部の当事者の主張を根拠に「野党は本分を果たしていない」と結論付けていますが、これも大問題です。一部の当事者の主張を正義と認定するのであれば、日本はその一部の当事者にのみ主権が与えられている専制国家ということになります。

民主主義の基本も理解していないコメンテーターが、公共の電波を通してヒステリックに自分の意見を強要するモンスタークレーマー番組は極めて有害と言えます。

世論調査|報道ステーション|テレビ朝日

お花畑政策をお花畑メディアがガン無視

松原耕二氏:岸田政治って何なんだろうか。岸田氏は何をしたい人なのか。今になってもわからない。岸田氏は「先送りされてきた課題に答えを出すことがこの政権の使命である」と。つまり積み残されたものを処理するんだ」と。それはやりたいことが政治家としてないことだ

この発言も本質的に政党政治というものを理解していないものです。

政党は特定の政策を実現することを目指す政治家が集まって構成される集団です。したがって、安倍総理であろうと、菅総理であろうと、岸田総理であろうと、選挙で国民から負託された自民党の公約を実現することが課されます。その中でも「先送りされた」あるいは「積み残された」という課題は基本的に実現困難な重要政策であり、これを実現することは政治生命をかけるだけのやりがいがある重大な仕事であると言えます。

防衛整備・原発稼働は安倍政権も実現できなかった日本の最重要課題であり、入管法改正とLGBT理解増進法も安倍政権時代からの積み残しでした。まさに最大の難問をクリアした岸田首相に対して「やりたいことがない」などと断ずるのは、政治記者としての素養が疑われると言います。

もっと言えば、岸田首相は「核なき世界」を実現したいと強く公言しています。

専制覇権国家である中露北が世界を核で脅している現状では実現可能性がほぼゼロな政策ですが、一国の首相が「やりたい」と執拗に繰り返しているお花畑政策を、世界一のお花畑メディアがガン無視して「やりたいことがない」としてしまうのはあまりにも残酷過ぎます(笑)

朝日新聞論説兼編集委員のルサンチマン

ところで、常に人権を振りかざしてスケープゴートを悪魔化するサンモニ出演者ですが、ちょっと油断していると、彼ら自身が人権意識に反するトンデモ発言をしていることがあります。タイタニック号への潜水艇ツアー事故の話題で高橋氏は次のように語りました。

高橋純子氏:3500万円あったら一体何ができるんだろう(笑)。ツアーで潜った人たちは3500万円を払って潜っている。金があれば何でもできるという人間の全能感の怖さを感じた。

高橋純子氏は、潜水艇事故で亡くなった何の瑕疵もない犠牲者がツアー参加料を3500万円支払ったことを鼻で笑った上で、まるでバチが当たったかのように、犠牲者の人格を攻撃しました。これが朝日新聞論説兼編集委員の実態です。

3500万円支払った者は、事故の犠牲になっても構わないとでも言いたいのでしょうか。これは【ルサンチマン】を全開させた恐ろしい【状況対人論証】であり、富を根拠にして人を差別するものです。森喜朗氏の「女性の会議は長い」などとは比べものにならないくらい深刻な人権蹂躙発言です。

奴隷根性丸出しの関口宏氏

また、関口宏氏はブリンケン米国務長官の訪中の話題を次のように紹介しました。

関口宏氏:中国を訪問していた米国のブリンケン国務長官、習近平国家主席と会談しました。会談はテーブルの奥の上座に習主席、ブリンケン長官は下座に並ぶ形で進行しました。これは当たり前なのかもしれません。

終了後、ブリンケン国務長官、台湾問題への発言(米国は台湾の独立を支持しない。一方的な現状変更には反対する)が問題になりました。これも今まで通りの発言ですが、なんでこれを今回言ったかということなんですが。

習近平-ブリンケン国務長官
菅総理-ブリンケン国務長官

まるで米国を皇帝に朝貢する属国のように見せる中国の演出を「当たり前」と表現する奴隷根性丸出しの関口氏です。少なくとも日本ではこんな高圧的な行動はしません。

さらに関口氏は、主権国家である米国の考えを表明したブリンケン長官の至極当然な発言を、空気を読まない発言であるかのように問題視しました。中共の失礼な振る舞いを当然と擁護し、米国の当然の発言を失礼であるかのように問題視するサンモニは、今もなお親中反米番組であるということです。

藤原かずえ

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