【新型コロナ】政府分科会 尾身会長「第9波が始まっている可能性」

 政府分科会の尾身茂会長は26日、岸田総理大臣と面会し今後の感染対策について意見交換を行った。面会後、「第9波が始まっている可能性がある」と見解を述べ、ワクチン接種などの対策の必要性を訴えた。

「重症化リスクの高い高齢者を守る必要」

 首相との面会後、報道陣に答えた尾身会長は「定点把握などのデータをみると、地域によって差はあるが全国的には微増傾向。第9波が始まっている可能性がある。社会を元に戻していく方向に進むなかで、重症化リスクの高い高齢者を守り、亡くなる人を減らすことが重要」と見解を述べた。

 そのうえで「日本も第9波による死者数が第8波を下回るようであれば、イギリスから遅れてエンデミックの方向になっていくのではないか」と見通しを示し、5類に移行したことで接触機会が増え、ある程度の感染者増は織り込み済みだったはずで「亡くなる人を減らすよう注意しながら社会を回すことが大事だ」とした。そのために重症化リスクの高い高齢者を守るため、施設での感染対策、6回目のワクチン接種を検討してもらいたいと訴えた。

松野官房長官「夏に向け一定の感染拡大が生じる可能性」

 松野官房長官 は同日の定例会見の中で、今後の新型コロナ対策について「夏に向けて一定の感染拡大が生じる可能性がある。感染拡大が生じても必要な医療が提供されるよう、幅広い医療機関で対応する体制へ移行を進めていく」「現在、重症化リスクが高い方などに対するワクチン接種を進めており、対象者は積極的に接種を検討してほしい」と述べた。

 新型コロナは今年の5月8日以降に感染症法上の扱いが季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行し、感染者等の発表が前週の統計を翌週金曜日に発表する体制となっており、リアルタイムで感染状況を把握するのが困難になっている。現在沖縄では入院患者が劇的に増え医療体制がひっ迫しており、来週には医療崩壊しかねない状況となっているほか、ワクチンを提供している米医療ベンチャー、モデルナが公開している毎日の感染者数を報告するサイトによれば、6月25日の予想推計で、全国の新規感染者が4万5000人を越えているとされる。

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