松本潤が演じる徳川家康の、選択だらけな人生を描く大河ドラマ『どうする家康』（ＮＨＫ）。６月２５日の第２４回『築山へ集え！』では、痛快な言動で久々に存在感を発揮した大鼠と、武田から心が離れようとしている千代、という２人のくノ一の活躍にＳＮＳが湧いた（以下、ネタバレあり）。
築山で床下に潜む忍び・大鼠に気づいた千代（古川琴音） (C)NHK
■ どうする家康、潜入した大鼠の報告
岡崎の築山で、家康の妻・瀬名（有村架純）と息子・信康（細田佳央太）が怪しげな動きをしていることが、織田信長（岡田准一）まで伝わってしまう。家康が、服部半蔵（山田孝之）の配下・大鼠（松本まりか）に築山を探らせると、噂通り瀬名と信康が武田の重臣・穴山信君（田辺誠一）や今川氏真（溝端淳平）などと密談をしていることが明らかになった。
信君が訪問しているときに、家康は築山に押し入るが、逆に信君や千代（古川琴音）に説得され、瀬名から戦のない世を作るための計画を聞かされる。それに共感した家康は、信長の目を盗み、武田と実質的な休戦状態に。しかし武田勝頼（眞栄田郷敦）の真の狙いは、この計略を利用して徳川と織田の仲を裂き、もろともに滅ぼすことだった･･･。
■ 半蔵のアウトなプロポーズに「殺すぞ」
悲劇の導火線に火が付いたものの、どういうルートをたどって爆薬にたどり着くかは簡単に読めないという、脚本家・古沢良太らしいひねりの効いた構成に翻弄された第２４回。そして前々回に続いて、緊張感と悲劇性が高ければ高いほど、ちょっとした笑いで息をつかせる古沢の良心（なのか？）に、今回も癒やされるシーンがあった。
それは第１６回以来の登場となった大鼠。家康の義弟を武田から救い出すミッションで、千代に襲われて負傷して以降安否不明だったが、右腕が不自由ながらも生きていたことが判明した。その姿を見かねた半蔵が、「女の幸せは男にかわいがってもらうこと」という、働く女相手にはアウトなプロポーズをしたところ、大鼠は手渡された花を食らって「殺すぞ」と一言放った。
大鼠（松本まりか）に花を差し出す服部平蔵（山田孝之）(C)NHK
これにはＳＮＳが、「女の地雷を的確に踏み抜く半蔵くんは、期待を裏切らない」「花ムシャアは『（嫁に来いとか眠いこと言ってないで、食いもんよこせ、こんなの腹の足しになるかあ！）殺すぞ』なのかな」「花投げつけて『ふざけんじゃねぇ』って言うだろと思ったら･･･、大鼠さん最高！」などの、主に大鼠への絶賛の言葉が並んだ。
■ 久々、千代と大鼠のくノ一バトル
そんな切ない目に遭いながらも、ちゃんと大鼠に仕事を振ったのが半蔵の人情（あるいは惚れた弱み？）。そのミッションは、築山殿の床下に潜り込んで、庭師に化けた仲間に握り飯を差し入れてもらいながら、１カ月も動向を探るというハードなもの。ちなみに毎回アバンに出てくるアニメーション、今回は「握り飯とネズミ」だったが、明らかにこの大鼠の姿を現したものだろう。
築山の床下に潜む忍び・大鼠（松本まりか） (C)NHK
そしてここで、まさかの第１６回に引き続いての千代・大鼠の対決が、一瞬だけ実現！ ＳＮＳではすかさず「この令和でくノ一バトルを実写で見られるチャンスなんてほかにない」「再戦は睨み合いか」「忍びは戦闘員ではなくて、情報を持ち帰るのがなにより大事というのは『忍たま（乱太郎）』で履修したので、千代とのリベンジマッチ避けた大鼠すばらしい」など、興奮の声が相次いだ。
■ 心が揺れる千代、サプライズあるか？
とはいえこの千代と、築山での面談で同席していた穴山信君、どちらも本気で瀬名の思想に同調していたようで、勝頼が「そんなおままごとなんか無視して、戦するぜ！」モードに入った瞬間、そろって絶望した表情になったのが印象的だった。信君がこのあと武田を去るのは史実で決まっているルートだが、千代もともに離反するのだろうか？
勝頼と話す、穴山梅雪（田辺誠一）、千代（古川琴音）(C)NHK
ＳＮＳでも「いつ何時も冷静で頭も切れて、全てをお見通しな感じの千代が勝頼の考えに『えっ･･･』って顔になったのがめっちゃ印象的」「千代ちゃんはもう完全に、瀬名ちゃんの思考に絡みとられていそう」「千代、瀬名の志を受け継いで武田滅亡後は徳川の忍びとして活躍する可能性もある？ 大鼠とバディを組む姿を見てみたい」との声が上がっていた。
千代には一応モデルと言われる歩き巫女がいるものの、ほぼオリジナルの存在だ。武田が滅亡したあとも、しばらくは家康の人生に並走することは予告されているが、それがどんな形になるのかは、わからなくなってきた。徳川の忍びとして大鼠とペアになるのか？ 出自が明確ではない家康の側室のひとりにするというサプライズも、古沢ならありえそうだ。
『どうする家康』はＮＨＫ総合で日曜・夜８時から、ＢＳプレミアムは夕方６時から、ＢＳ４Ｋは昼１２時１５分から放送。７月２日の第２５回『はるかに遠い夢』では、織田信長に瀬名の計略が露呈し、家康があまりにも過酷な「どうする」を迫られる姿が描かれる。
文／吉永美和子
