老舗スーパー「さとちょう」運営の(株)佐藤長[青森]ほか1社が民事再生法申請

(株)佐藤長(弘前市)と、関連の(株)青森食研(黒石市)は6月26日、青森地裁弘前支部に民事再生法の適用を申請し同日、保全処分および監督命令を受けた。

申請代理人は齋藤拓生弁護士(つばさ法律事務所、宮城県仙台市青葉区片平1-1-11)ほか3名。監督委員には三上雅通弁護士(三上雅通法律事務所、弘前市元長町25)が選任された。

負債総額は、佐藤長が債権者390名に対して63億4785万円、青森食研が約6億2300万円で、2社合計69億7085万円。

佐藤長は、1897年9月に佐藤商店として豆腐製造販売を目的に創業。1978年頃にスーパーマーケット業態に転換して以降は、地域密着型の庶民派スーパーとして根強い固定ファンを獲得し、2019年8月期には売上高149億5267万円をあげた。自社店舗に加え、商業施設内のテナントとしても出店するほか、業務委託や買収も行い業容を拡大し、2022年8月期末時点では「スーパーさとちょう」28店舗、鮮魚店「魚三」12店舗を展開していた。

しかし、相次ぐ設備投資により金融債務が膨らみ、他人資本に依存した体質に陥っていたうえ、2022年11月4日に当時の代表であった前代表が突然退任。同年11月15日には無許可で労働者を受け入れていたとして、職業安定法違反の容疑で同氏が逮捕された。当事件を巡っては指定暴力団組員の関与も取り沙汰されたことから信用が失墜し、金融機関からの新規融資も厳しい状況となっていた。

立て直しを図るため、創業家一族の現代表が就任し、事実関係の調査ならびに再発防止、取引先への事情説明を行ったほか、第三者による特別調査委員会が組織的な関与の有無を調査し、2023年5月には反社会的勢力との関係はないとの結果が得られた。

その後はフードロス対策店舗「エコさとちょう」を出店するなど売上拡大に努め、金融機関との協議も進めてきたが、経営環境は厳しく資金繰りも限界に達し、自力での再建が困難なことから今回の措置となった。

青森食研は、2021年6月に工場を取得し、佐藤長の食品製造工場として2022年1月より本格稼働。2022年3月期には売上高1億9928万円を計上したが、工場設備への投資等から赤字経営を強いられていたなか、佐藤長に連鎖した。

※(株)佐藤長(TSR企業コード:180059963、法人番号:2420001009145、弘前市桔梗野4-9-2、登記上:弘前市松森町93、設立1984(昭和59)年2月、資本金2000万円)

※(株)青森食研(TSR企業コード:134357612、法人番号:9420001016977、黒石市下目内澤小屋敷添5-15、設立2020(令和2)年4月、資本金1000万円)

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