佐々木歩夢、揺るがぬ安定感で4戦連続表彰台。ランキングでも3番手に浮上/第8戦オランダGP

 佐々木歩夢(リキモリ・ハスクバーナ・インタクトGP)がMotoGP第8戦オランダGP Moto3クラスの決勝レースを2位でゴールした。この結果により4戦連続での表彰台獲得。また、チャンピオンシップでもランキング3番手に浮上してシーズン前半戦を締めくくった。

 MotoGP第8戦で、佐々木はやや苦戦していた。3回のプラクティスを終えて総合8番手。Q2から臨んだ予選では4番手。2023年シーズン、ほとんど1列目を獲得してきた佐々木がフロントロウを逃すのは2度目である。大きく順位を落としているわけではなかったが、ややポジションが上がりづらい状況にいることは察せられた。

 土曜日の夕方、パドックのなかにあるリキモリ・ハスクバーナ・インタクトGPのテントピットを訪れて佐々木に話を聞くと、原因はフロントタイヤのフィーリングだという。

「今週は少しフロントのフィーリングに苦しんでいるんです。ただ、多くのライダーが苦しんでいるみたいで、けっこう転倒も多いんですよ。トップのライダーも何人か厳しいウイークを過ごしています。僕もフィーリングはよくなかったけど、今日は少しずつよくなってきました」

「(フロントの)グリップが欠けているんです。去年とタイヤの硬さはまったく同じなんですけど。コースのコンディションのせいなのか、理由はわからないのですが。Moto3ライダーみんな、苦しんでいます。特にKTM勢はフロントのグリップがないと走れないので、そういう意味では、ホンダが強いウイークなんじゃないかな、と思います」

 決勝レースは佐々木の考えていた通りの展開となった。ここ最近のMoto3の決勝レースは数人のライダーが抜け出し、その後、優勝、表彰台争いを展開するというものだったが、トップグループは終盤まで10人のライダーによって形成される大きな集団となった。佐々木はこの集団のなかで周回を重ねながら、残り3周で前に出ようと考えていた。

 佐々木は残り3周で3番手付近に浮上すると、最終ラップに突入する。激しい接戦を展開しながら優勝を争うのは、ホンダのジャウメ・マシア(レオパード・レーシング)だ。佐々木は高速コーナーである15コーナーでトップを走るマシアをかわしたが、その先の最終シケイン、16コーナーの飛び込みでマシアに前を奪われた。佐々木は0.081秒差の2位でチェッカーを受けたのだった。

「最終ラップはグリーンに乗りたくなかったので、タイトに立ち上がったときにマシアがインから抜いていったという感じです。少し悔しいところはありますが、自分でリスクがないレースができたのと、今週はドイツGPと比べると苦しんでいたので、苦しい中でも2位を獲得できたのは、ポジティブだったんじゃないかなと思います」

「最終ラップの16コーナーまでは完全に思い通りのレースができました。抜かれてしまったので少し悔しいレースになりましたが、4戦連続表彰台です。確実にペースもスピードもあります。勝つのに足りないところを、しっかりと夏休み中に仕上げていけたらなと思います」

 惜しくも優勝は逃したが、やや苦しんだレースウイークでも2位という結果を得て、4戦連続で表彰台を獲得した。今の佐々木には、安定感がある。

「サマーブレイクは日本に帰らないです」と佐々木は言う。オランダGPを終えてMotoGPは約5週間のサマーブレイクに入るが、その間、後半戦に向けてヨーロッパで準備をするという。

「普段の生活を変えないように。チャンピオン争いもしていますからね。サマーブレイクは5週間ありますが、最初の1、2週間はゆっくりして、そのあとにトレーニングを開始します。リラックスしすぎず、このままの勢いで後半戦に入れるようにしたいと思います」

 これがMoto3クラス7シーズン目を戦う、そして「将来」を見据えた佐々木の覚悟なのだろう。チャンピオンシップでも、ランキング3番手に浮上した。トップのダニエル・オルガド(レッドブルKTMテック3)とは26ポイント差で、シーズン後半戦を迎えることになる。

マシア(#5)と優勝争いを展開する佐々木(#71)
2戦連続で僅差の2位に「少し悔しい」とも

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