「最北」の書店営業終了 ネット影響、北海道・稚内

「最北の書店」として知られ、6月末で閉店する北海道稚内市の「クラーク書店」

 「最北の書店」として親しまれた北海道稚内市の「クラーク書店」が6月末に閉店する。インターネット通販や電子書籍が普及した影響で売り上げが落ち込み、営業継続を断念した。市内には本を専門に取り扱う店が他になく、遠方から訪れる人もいたといい常連客から惜しむ声が出ている。

 店は1984年、稚内市の別の場所で開業し、2006年に現在のJR稚内駅近くに移転した。面積約330平方メートルの店内には本や雑誌、漫画など数万冊が並ぶ。ネット通販などの拡大に加え、人口減少も響いて売れ行きは低迷。店舗の維持費にも悩まされた。

 神田雅彦店長(49)は「お客さんには不便をかけてしまうが、商売にならない状況だった」と打ち明ける。閉店後も地元の小中高校の教科書販売などは続けるとしている。

 稚内市には本を扱う総合スーパーやレンタルDVD店はあるものの、専業はクラーク書店だけ。

 周辺の各自治体によると、クラーク書店閉店後は約90キロ南東のオホーツク海沿岸にある「三浦書店」(枝幸町)が離島を除くと専業で最北になるとみられる。

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