営農の悩みをAIが回答 長崎市のベンチャー、テスト版提供

「コシヒカリ」の栽培技術について質問したときの画面

質問すると人工知能(AI)が会話しているように答えるサービス「チャットGPT」に注目が集まる中、長崎市のベンチャー企業が、同様の技術を用いた農業向けサービスの提供を始めた。栽培技術や販売方法などを巡る疑問に、ベテラン農家が答えるというコンセプト。疑問点をインターネットで検索し、情報を探し出す手間が省けるとして、農家や営農指導員らの活用を見込む。

このサービスは「スーパー農家 トミさん/Agri―GPT」で、AIを活用した技術開発を手がけるLAplust(ラプラス)が開発した。LINEで友だち登録すると、無料で使える。現状はテスト版との位置付けで、年内に正式版を公開する。

農家らがLINE上で質問を入力すると、文章で回答する仕組みだ。回答は①具体的にする②根拠のデータを示す③できるだけ箇条書きで答える──よう設計した。質問は具体的、かつ、知りたいことを詳しく書くのがポイントだという。例えば「コシヒカリを30アールで栽培しています。収量を落とさずに施肥量を減らすには、どんな方法がありますか」との質問には、「有機物質を利用する」「微生物肥料を利用する」「水管理をする」といった返答があった。

同社は、近隣に相談できる先輩農家がいない新規就農者らの手助けになるとする。一方、回答内容は、情報が最新でない場合もある他、インターネットで一般に検索した場合と同様、正確性を保証するものでもないとし、「実際に営農に取り入れる場合は、必要に応じて普及・指導組織に確認するなどしてほしい」という。

正式版の公開に向け、同社が連携する農家や研究者らと協力して回答の精度を高めていく。その後も、各地の農業試験場などの情報を活用し、地域の病害虫の動向などに応じた回答を可能にしたり、作物の画像を基に病害虫診断を行う機能も加えたりする予定。

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