「木」素材に人間追求 水戸で作品展 彫刻家・笠原さん力作22点

人間の在り方を追求した彫刻を創作している笠原鉄明さん=水戸市備前町

「木」という素材を通して人間の在り方を追求する彫刻家、笠原鉄明さん(70)の作品展「時の狭間(はざま)に」が水戸市備前町の常陽資料館で開かれている。人間の体を再構築し、木目や質感を生かした彩色が特徴的な22点が展示されている。7月16日まで。

笠原さんは富山県出身で、社寺彫刻を学んだが、より人間的な感情を移入した作品を作ろうと上京。約30年前に茨城県牛久市にアトリエを構え、人間を主題に創作を続けてきた。

「揺らぐ月」は、3人の人物像と、足元に広がる水紋が印象的な作品。「水紋は外から影響を受けて連鎖するもの。人と人との関わりと同じ」といい、自然と人間を組み合わせた作品を中心に据えた。

コロナ禍で従来の常識が覆されたことに苦しみ、人間と自然との切り離せない関係を感じたという笠原さん。今展は茨城で制作した作品の集大成になっているという。

会場を訪れた城里町の男性は「パンフレットを見て来た。喜怒哀楽のない表情だが、見つめていると感じるものがある」と話した。

午前10時から午後5時45分まで。月曜休館。

© 株式会社茨城新聞社