特別支援学級でいじめ 学校対応巡り 保護者ら佐世保市を提訴

 長崎県佐世保市の市立小学校の特別支援学級で、4年生の男児=当時=が授業中などに同級生から暴行を伴ういじめを繰り返し受け、転校を余儀なくされたのは学校が適切な対応を取らなかったためだとし、保護者らが市に約300万円の損害賠償を求め、26日までに長崎地裁に提訴した。
 訴状によると、男児は2021年4月ごろから日常的に加害児童から「死ね」といった暴言を受けるようになった。また授業中にアルコールスプレーを目にかけられたり、教師用の長さ1メートルの定規を振り下ろされたりして、けがをした。7月には、はさみを突きつけられる事案も起きた。
 男児は7月ごろから足の痛みなどを訴え不登校になった。一時通学を再開したが、学校生活への不安や加害児童への恐怖心から再び登校できなくなった。男児は解離性(転換性)障害と診断され、11月に市外の学校に転校した。
 市教委は、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」に認定、22年9月に朝長則男市長(当時)へ報告した。
 保護者は、学校が早期にいじめと認識し対処すべきだったと指摘。加害児童らへの指導などは不十分で、再発防止措置を取らなかったと主張している。「重大事態と認定されても(子どもの)病気が回復する訳でもなく、失った時間も戻らない。不安な日々は消えない」と怒りをにじませる。その上で「適切な対応が取られなかった原因と全容を明らかにしてほしい」と訴えている。
 市教委は「訴状が届いていないため回答できない」としている。

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