「agari」(外苑前)パフェに願いを込めて。NY生まれの店主×スイーツセラピストの出会いで生まれた名店。#ふうかとあいす 

「Gunn’s」所属のアイス好きモデル・風歌さん(fuuka_nw)のアイス連載。今回ご紹介するのは、前回に引き続き、外苑前に移転オープンしたパフェバー「agari」です。

バーということもあり、営業は昼と夜の2部制。繊細なつくりの季節のパフェと美味しいドリンクが話題を呼び、パフェ好きやスイーツ好き、そして移転前からお店に通う常連客の予約が殺到している人気店です。今回はパフェ担当のジョナサンと店主の佐野さんにインタビューし、パフェへの想いや、お店の立ち上げから移転した今に至るまでの物語を教えてもらいました。

「ちょっと気分が上がるお店」に。小さな物語が込められた、ほっこりパフェ

agariがあるのは、地下鉄銀座線の外苑前駅より徒歩7分のところ。大通りから小道へ曲がり少し歩くと、パリのカフェのような、キュートな赤い屋根のお店が。

実は、神楽坂での間借り営業からスタートしたagari。口コミで徐々に評判が広がり、着々とファンを増やし続けた後、松陰神社前に実店舗を構え、今年の5月には現在の外苑前へと移転オープンしました。

パフェ担当、スイーツセラピストのジョナサン

agariは、アメリカ生まれ・アメリカ育ちの店主の佐野さんと、熊本出身のスイーツセラピストのジョナサンが2019年に二人三脚でスタート。もともと遠く離れていた2人が出会ったのは、飲食業界に影を落としたコロナ渦の真っ只中。当時佐野さんはアメリカで暮らしており、ジョナサンは神楽坂にある「u-ma kagurazaka」で定期的にパフェイベントを開催していました。

「そのときは、アメリカで抹茶のアイスショップを開業しようと動いていたのですが、コロナ禍のロックダウンで断念することになって。」と佐野さん。

「そこで母が、ちょうどパフェのイベントをしていたジョナサンと引き合わせてくれたんです。『日本で一緒に、パフェのお店をしようか』と盛り上がって、agariがスタートしました」。

agariのメニューは季節のパフェと、自家製コーラをはじめとしたペアリングドリンクたち。今回頂いたのは6月の「アメリカンチェリーのパフェ」。(※7月初旬まで。詳しくは前編記事にて)。

甘酸っぱくてみずみずしいアメリカンチェリーと、華やかに香る紅茶やレモンのマリアージュがたまらない逸品。クッキーやジェラートはヴィーガンなので、食べ終わった後も「見た目はボリューミーなのに、後味はすっきりです!」と風歌さんも驚き。

このパフェの楽しいところは、グラスの中身の半分は和風テイスト、半分はアメリカンテイストと、左右で味が違うこと。食べる前からワクワクしてしまいます。チェリーと渡り鳥のクッキー、アシンメトリーな構成には、ジョナサンの考えるキュートな鳥の物語が閉じ込められているのだそう。

「チェリーと鳥で、赤い実をついばむ鳥をテーマとして閉じ込めました。

今回、チェリーのパフェにしようと考えた時、まず、赤い実が成る場所を想像したんです。そこで、鳥って赤い実をついばむ習性があるなあと思って。左右で味を変えたのは、いろんな土地を旅をする鳥が日本やアメリカを渡って、つないでいく物語を表現しました。

パフェのテーマを考えるときは、使うフルーツについて考えるんです。そのフルーツがどんな環境で育つのかをイメージしてみたり、何科のものか調べてみたり。今回だったら同じバラ科の桃を加えてみたりと、そこからヒントを得ています」。

「パフェで人を癒したい」パティシエではなく、“スイーツセラピスト”を名乗るわけ

パフェを作るのは、スイーツセラピストのジョナサン(※本名からとったニックネーム。“ジョナ”さんから)。もともとは熊本県のカフェで焼き菓子を作っていたジョナサンですが、「(自分は焼き菓子専門なので)パティシエを名乗るのは何か違う」という気持ちを抱いており、当時のオーナーに相談。そこで、病院に併設しているカフェだったことから「スイーツセラピスト」の肩書をもらったのだとか。

「熊本地震でカフェが閉店したことを機に上京し、もともと好きだったパフェ作りをはじめました。パフェって、大人も子どもも喜ぶ楽しくなるスイーツだし、作り手としても、焼き菓子もクリームもアイスも全部入れられる面白いスイーツ。パフェで人を癒すことが、スイーツセラピストとしての目標です」。

スイーツセラピストとして、パフェのテーマに加え、ジョナサンなりの想いや願いを込めている部分もあるのだそう。

「アメリカンチェリーのパフェのアシンメトリーの層の片側、和風テイストのほうは、白玉と小豆で、和菓子の『ういろ』をイメージしています。ういろには、無病息災の意味があって。これから暑い夏が来るけれど、元気で無事に乗り越えようね、という願いをこめています」。

店内の黒板には、パーツの説明が書かれているので要チェック!

さらに、agariのパフェがどこかほっこりするのは、パーツがひとつひとつ手作りで優しい味わいだから。「全部作ってしまった方が、味の調整がしやすいし、後味も軽くなるから」とジョナサン。生クリームも無糖だったりと、パーツだけでもagariならではの味わいが楽しめます。

食後には、お寿司屋さんのように食後の「アガリ」のお茶が提供されます。「パフェで冷えたお腹を温めてもらえれば」と佐野さん。二人の優しい願いが込められた仕掛けに、思わず心までほっこり。

「日本のパフェをアメリカへ」。agariが夢見る物語の終着点とは

間借り営業から着実にパフェ好きたちを魅了し、どんどん人気店へと駆け上っていくagari。コロナの影響も少しずつ晴れ、外苑前に移転オープンしたことをきっかけに、少しずつ海外出店への夢を復活させてきたといいます。

「せっかく外苑前に来たので、外国のお客さんにも来てほしいと思っていますし、その次はアメリカでポップアップをやりたいです」と語る店主の佐野さん。

「パフェってすごく自由なスイーツだと思います。人それぞれ、好きなパーツから食べたり、口の中で食べ合わせてみたり。それに綺麗な見た目も含めて、誰しも気分が上がるもの。

アメリカには、サンデーはあるけれど、こんな楽しみ方ができる複雑で繊細なパフェってないんです。日本の、agariのパフェをアメリカでも広めていきたいですね」。

神楽坂の小さなお店からはじまった、心暖まるパフェバーagari。訪れた人々を幸せにするパフェの物語は、まだ始まったばかり。みなさんもぜひ、パフェに込められた物語と優しい味わいを、ぜひ体験しに来てはいかがでしょうか。

About Shop
パフェバー agari
東京都渋谷区神宮前3丁目1−25 コーポ外苑サイド 1F
営業時間:14:00~22:00(火曜、金曜、月曜)
12:00~20:00(土日祝)
定休日:水曜、木曜
@parfaitbar_agari

Photo/Ikue Takizawa Hair&Make/Aoi Nagasawa Writing/Nanako Maeda

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