スプリンクラー事故「原因特定できず」と市の調査委員会 楽団側「被害者放置の責任重大」=静岡

静岡県裾野市の裾野市民文化センターで楽器が水浸しになったスプリンクラー事故で、市が立ち上げた事故調査委員会が6月27日、最終報告を市に提出しました。中間報告を出した3月から追加の調査を行いましたが、事故の原因を特定できませんでした。

<事故調査委員会 近藤淳委員長(静岡大学工学部教授)>

「我々の検査、調査してきたことをまとめて結論を出しました。本件事故の原因は特定できないことになります」

この問題は2022年9月、裾野市民文化センターの大ホールで、突然、舞台上のスプリンクラーが作動し「シンフォニエッタ静岡」のメンバー5人がけがをしたほか、楽器や楽譜などが水浸しになったものです。

<シンフォニエッタ静岡 指揮者 中原朋哉さん>

「ポンプの音がしてスプリンクラーの水が出てきた。みんな楽器を救出するため、ずぶ濡れになっている」

裾野市は専門家や弁護士らによる事故調査委員会を設置。3月下旬には中間報告をまとめたものの、追加調査が必要として最終報告を先送りしていました。

追加の経過観察調査では、4つの配管(系統)からすべて水漏れがあったことを確認しましたが、スプリンクラーを誤作動させるほどの漏水量ではないことが分かりました。また、調査ではバルブに目視で確認できるほどの傷があったことが新たに分かりましたが、最終報告では原因の特定に至りませんでした。

この事故をめぐっては、楽器が濡れるなどの被害を受けた楽団側が市に補償を求めています。

一方、裾野市の村田悠市長は、市の責任が明確にならない限り補償に応じられないとの考えを示していて、最終報告を受けての市の対応が注目されます。

<滝澤悠希キャスター>

「原因が分からず、長引くスプリンクラー問題ですが、27日の最終報告を受けて裾野市の村田悠市長は「内容を精査し、裾野市の対応を検討してまいります」とコメントしています。一方、シンフォニエッタ静岡の指揮者・中原さんは「事故の発生から9か月以上もの時間を要しています。遅過ぎます。9か月以上も被害者を放置し続ける裾野市長の責任は重大」などとコメントを出しました。

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