Vol.240 「Insta 360 GO 3」の進化を検証。超小型のアクションカメラを最速レビュー[OnGoing Re:View]

超小型・軽量アクションカメラのInsta 360 GO 3が、前モデルのGO 2から大幅にアップグレードして登場した。コンパクトなサイズと、どこにでも取り付けられるというメリットを維持しつつ、動画の最大2.7Kの解像度、オーディオのステレオモード、アクセサリーの追加など、様々な性能や機能が強化されている。

新開発のフリップ式タッチスクリーン搭載のアクションポッドを使用することで、スマートフォンに接続せずとも、イメージのプレビューと設定や操作をおこなうことができるようになり、長時間のバッテリー供給も可能になった点が、何より最大の進化である。本記事では、発売前に入手した実機を用いて、撮影性能や改善された機能を中心にレビューをお届けする。

Insta360 GO 3の特徴

Insta360 GO 3は、2019年9月に発売されたGO、2021年3月に発売のGO 2に続く、シリーズ3世代目のアクションカメラである。

毎回、新機能が追加されて性能の向上が図られてきたGOシリーズであるが、今回のアップグレードも要注目だ。GO 3の主な特徴について整理して、以下にリストアップしてみる。

  • 超小型・軽量の携帯性
  • 最大動画解像度が、2.7Kに拡大
  • 改良、追加された様々なアクセサリーを利用して、ハンズフリーPOVを実現できる
  • フリップ式タッチスクリーン搭載のアクションポッドの登場で、イメージのプレビューや撮影設定が簡単におこなえ、自撮りやVLOG撮影も容易に
  • GO3単体で、最大45分、アクションポッドを利用することで、最大170分程度の電源供給が可能に
  • 本体が、5m防水。アクションポッドも、IPX4の耐水性能を実現
  • カメラ本体とアクションポッドが、共通の磁気マウントシステムに適合し、着脱がスムーズ
  • 放熱性を改善することにより、最大動画時間の制限を廃止
  • FlowState 手ブレ補正/360度水平維持機能を保持
  • FreeFrameモードで、アスペクト比やFlowstate 手ぶれ補正を変更可能
  • 2つの内蔵マイクで、ステレオモードに対応
  • クイックメニューの実装
  • 音声制御 2.0を実装
  • Insta360アプリによるAI自動編集
Insta360 Go 3
Insta360 Go 3にアクションポッドを装着した状態
アクションポッドのフリップ式タッチスクリーンのアングルを立てた状態
Insta360 GO 3のセット一式を開封

Insta360 GO 3の外観について

GO3のレンズは、f2 .2。35mm相当の焦点距離が、11.24mm。取り外し可能なレンズ保護フィルターが付属されている。

レンズ保護フィルター

本体の大きさは、25.6x54.4x23.2mm。重さは、35.5g(レンズ保護フィルターを外した状態)。GO 2の重さの27gより、8.5gほど増加しているが、性能の向上を鑑みれば、全く許容できる僅少差であろう。

単体でも撮影することができるが、スマートフォンアプリと接続することで、リモート撮影が可能となる。

バッテリーの性能が向上し、GO 3単体でGO 2のおよそ1.5倍の最大45分間の撮影が可能に。これはメーカー公表の1080p 30fpsでのラボ環境における測定値であるが、筆者の検証では、単体による2.7K 30fpsの撮影でも、40分間程度の撮影が実行できた。

また、GO 3用に新開発されたアクションポッドを使用することで、 フリップ式のタッチスクリーン上で、イメージをプレビューしたり、設定や操作をスムーズに行うことができる。本体とアクションポッドは、マグネットで容易に脱着ができる。そして、アクションポッドをマウントすることで、本体を充電することができ、装着した状態では、最大170分程度の電源供給が可能になるから、電池残量不足の点でも心強い。

本体とアクションポッドは、切り離した状態でも、リモートコントロール及びプレビューすることが可能になっている。(オープン環境で5mの範囲内での使用が推奨されている)。

アクションポッドの大きさは、スクリーン格納時が、63.5x47.6x29.5mm。スクリーン展開時が、63.5x86.6x29.9mm。重

さは、96.3gである。本体をアクションポッドに装着した状態の重さは、132.6gほどであった(筆者実測)。

アクションポッドには、Qボタン(クイックメニュー )が設けられ、撮影の設定やプリセットにも、素早くアクセスすることができる。 ストレージの容量に関しては、32GBと64GBに加え、128GBのモデルが登場した。

アクセサリーについて

GO 3は磁気や粘着力によって、様々な場所へ装着することができるから、一般的なカメラやスマホでは不可能なアングルからの撮影も実現させて、クリエイティブな可能性を広げることができる。また、改良が施されて、より充実したラインナップのアクセサリー群を使用することで、撮影の応用の幅も広がる。GO 3のアクセサリーとしては、以下の3点が同梱されている。

磁気ペンダント

一人称視点の撮影に用いるアクセサリー。絡みにくい巻き取り式の設計の磁気ペンダントをシャツの内側に配置して、マグネットでカメラを外側に装着する。カメラの角度を傾けることができる調整用のインサートパーツが新たに付属された。

簡易クリップ

帽子のつばの先端やペットの首輪等にクリップで挟み、GO 3を簡易的に留めることができるアクセサリー。

ピボットスタンド

粘着性の台座で、車のボンネット等の平面に取り付けることができる。 マグネットとバックルロックで、しっかりと本体やアクションポッドを保持する仕様は秀逸だ。台座は水洗いして乾燥させることにより、再利用が可能。台座のネジを外すと、内臓の1/4インチマウントが出現する。

また、オプションとして、自撮り棒や三脚、フレキシブルマウントと自在に活用ができる便利なモンキーテールマウント。アクションスポーツ向けのクイックリリースマウント。ペットの犬の一人称撮影に使用できるフェッチステック。Mini 2-in-1 Tripod。潜水ケースの発売が予定されている。

モンキーテールマウント
防水ケース

GO 2から進化したポイント

GO 3では、最大解像度がGO 2の1440pから2.7Kにアップグレードされ、色や画質の最適化が施されている。GO 2の「プロモード」は、「FreeFrameモード」と改名され、最大解像度は1440pとなるが、4:5のアスペクト比の選択ができるようになった。

手ブレ補正は、FreeFrame 動画モードと動画モードの両方で利用可能だが、 360度水平維持の機能は、FreeFrame 動画モードでのみ使用できるので注意したい。

2.7K 30fps 鮮やか

FreeFrameモード 1440p 鮮やか Flowstate 手ぶれ補正オン

■動画のスペック

  • 2.7K: 2720x1530@24/25/30/50/60fps
  • 1440p: 2560x1440@24/25/30/50fps
  • 1080p: 1920x1080@24/25/30/50fps

■FreeFrame動画のスペック

  • 1440p: 2560x1440@24/25/30/50fps
  • 1080p: 1920x1080@24/25/30/50fps

FreeFrameモード 鮮やか 1440p Flowstate 手ぶれ補正オフ

https://youtube.com/shorts/Mxo_01a63KY?feature=share

FreeFrameモード 鮮やか アスペクト比 4:5で書き出し

Insta360 Studio 2023のインターフェース

GO 3では、放熱性が改善され、1つのクリップの長さの最大制限がなくされている。本体のキャビネット(筐体)は、GO 2に比べて、長時間撮影しても、熱さを感じない。GO 3では、動画モードとして、プリ録画、ループ録画、予約録画のモードが追加される。予約録画モードを使用すれば、予め指定した時間に録画を開始できるので、早朝や夜間のタイムラプスなどで便利だ。

防水性能は、GO 2の4mから5mに向上した。

アクションポッドを装着した状態では、IPX4(あらゆる方向からの水の飛まつを受けても有害な影響を受けない)防沫仕様となっている。この場合、水没には、対応しないので使い分けが必要である。

アクションポッドも、IPX4の防沫性能である。水没は、不可

オーディオ面では、内蔵マイクがGO 2の1つから2つに追加され、ステレオモードが実装された。VLOG撮影などにも活用しやすくなっている。アクションポッドにもマイク穴が設けられているので、装着した状態でも機能する。バイクやサイクリングの走行時の撮影等では、風切り音低減を選択することになる。

音声設定(ステレオ)

音声設定(風切り音低減)

音声設定(方向性強調)

クリエイティブな表現としては、ハイパーラプス撮影をおこなえる「タイムシフト」。AI搭載で、より優れたダイナミックレンジを拡大する写真モードの「PureShot HDR」。120fpsで撮影することで、最大4倍のスロー再生が可能な「スローモーション」。「タイムラプス」などが用意されている。

GO 3を車のフロントガラスに装着して、タイムシフト撮影を試みた

GO 3で撮影した静止画のPureshotHDR(2560x1440 (16:9))

まとめ

GOシリーズは、これまでも、従来のカメラや競合のアクションカメラ、スマホ等では、撮影することができない独自のアングルを獲得してきた。性能や機能の向上と共に、新たに改良、追加されたアクセサリーを用いることで、超クリエイティブな表現を可能にする最先端のウェアラブルカメラとなる。今回、アップグレードされたGO 3の登場により、ますます、既存の撮影装置との差別化を測ることができたと言えるのではないだろうか。新開発のアクションポッドとの連携もスムーズで、使い勝手も向上している。Insta360の強力なアドバンテージであるFlowState 手ブレ補正 + 360度水平維持やInsta360アプリのAI自動編集などを利用しながら、GO 3ならではの新しいイメージをつくり出すことができる可能性を感じた。

  • GO 3の価格は、32GBモデル:税込57,500円
  • 64GBモデル:税込60,500円
  • 128GBモデル:税込64,800円

GO 3は、2023年6月27日より、Insta360.com 公式ストア、全国の量販店(一部店舗を除く)と各社オンラインショップ、アマゾン、楽天など各取扱店舗より購入が可能となっている。

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